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「チェーンは品質が命」一カ所の不具合も許さない!

「チェーンは品質が命」一カ所の不具合も許さない! 品質第一主義の現場をリポート

27

2019

Aug

お風呂場や洗面所の水栓、看板や表示用POPの吊り下げなど、日常に溶け込み、何気なく使用しているチェーン。

見えないところでも、盗難防止や落下防止で活躍したり、マンホール、家具などに取り付けられたり、私たちが安全な暮らしを送ることにひと役かっています。

今回、いいものマガジン編集部では株式会社ニッサチェインさんにお邪魔して工場見学をさせていただき、チェーンの大切な品質について詳しくお話をうかがいました。

チェーンはこうしてできあがる

ニッサチェインでは主に、成形→溶接→検査の順番で製品作りが進められています。他にも「めっき」や「カラー」を施す作業も行われます。

  1. 素材となる線材や板材などが機械を通り、成形されていきます。
  2. 接続部分を補強するため、溶接を行います。溶接を行わない製品もあります。
  3. 溶接後は自動的に検査機械を通し、品質チェックを行います。溶接不良があった場合、検査機械が止まるので、市場への流通を防ぐことができます。
成形イメージ図

全検査の徹底「品質第一主義」のこだわり

工場見学を終えたいいものマガジン編集部は続いて、株式会社ニッサチェインの製造部部長、品質管理責任者である小林 英夫さんに品質へのこだわりをうかがいました。

小林英夫さん
編集部
編集部

貴重な工程を見学させていただき、ありがとうございます。成形から品質チェックまで、すべて機械を通して行われていることに驚きました。特に正確な検査体制にはニッサチェインさんのこだわりを感じました!

小林
小林

はい、ニッサチェインでは「全検査」を徹底しています。
現在、チェーンの製造を行う国内メーカーは少なく、海外で製造されているチェーンも流通しています。そんな中、検査に一定基準はなく、検査が行われたとしても「抜き取り検査」のみです。ニッサチェインのように全てを検査して出荷しているチェーンはありません

編集部
編集部

「抜き取り検査」では、不良率の判定はできますが、検査をすり抜けた不良品が流通してしまうと怖いですよね。

小林
小林

そうなんです。もしも検査をしなかった部分の一カ所に不具合があれば、その製品を使ったお客様にとっては100%ダメな製品ということになってしまいますからね。そうならないための全検査なんです。

編集部
編集部

本当に徹底して品質にこだわる思いが伝わってきます。

小林
小林

ただ、最初からそうだったわけではないんです。

チェーンを手に困っている男性2人のイラスト
小林
小林

チェーンの国内製造は戦後から始まりました。当時はとにかく製品を早くたくさん作ることが使命で、成形部分は自社、溶接は外注する形をとっていました。
しかし、外注先はどこも簡単な溶接だったため品質にも問題が発生。ニッサチェインでは、目視検査で品質の保持を図ろうとしたのですが、それは難しいことでした。
さらに1970年代に入りオイルショックが起こり、アセチレンガスで行っていた溶接を続けるとコストが上がってしまうという事態にも直面したのです。

編集部
編集部

外注の溶接では品質はよくならない上、コストは上がってしまう。これは困りますね。

松下電器へ出向いたり、独自の勉強を重ねる社員のイラスト
小林
小林

そこでニッサチェインは「自分たちで溶接をしよう」と考えたのです。
当時は溶接の知識など皆無だったため、松下電器へ出向いたり独自の勉強を重ねたりして、機械の開発を続けました。そしてようやく5年をかけて溶接機械を完成させたのです。

編集部
編集部

溶接機械を自社開発するって、すごいことですよね。

納得できる検査機械を作成でき、笑顔の男性社員2人のイラスト
小林
小林

そのおかげでコストカットと品質アップに成功しました。
しかし製品として自信をもって出荷するには、検査方法も確立させることが大事です。そこで次は「自分たちが納得できる検査機械を作ろう」ということで、現在のような溶接機械と検査機械が一体となった機械が完成しました。

編集部
編集部

さまざまな過程を経て、良い製品と良いチェック体制が整っていった訳ですね。

小林
小林

今、振り返れば、「自分たちの製品を自信を持ってお客様へ届けたい」という社員一人ひとりの純粋な思いが、ニッサチェインの品質向上につながったというところでしょうか。

編集部
編集部

すばらしいことですね!お話をうかがってニッサチェインさんの品質の高さに納得がいきました。

チェーンでつながる脈々と受け継がれる想い

ニッサチェインの社員の方々といいものマガジン編集部一同
画像右上より
製造部部長 品質管理責任者 小林 英夫さん
取締役 営業部長 井上 健一さん
営業部 販売担当 須藤 利明さん
他 いいものマガジン編集部員一同

工場見学をすると、その企業がどのような意思をもってモノづくりに取り組んでいるかがよくわかります。ニッサチェインさんはまさに「創意工夫」「人財」という言葉がぴったりの工場でした。

工場見学の後に会議室でお話をお聞きしていると、今はもういらっしゃらない古い社員さんの名前がしばしば出てきました。それも、誰かひとりが活躍したということではなく、チームで取り組んだエピソードばかりだったからです。

ニッサチェインさんのモノづくりへの企業姿勢、品質への責任感と情熱を強く感じる工場見学となりました。

※この記事の内容は、2018年4月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。

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