珪藻土バスマットは簡単に捨てちゃダメ!珪藻土の秘密を大公開
31
2019
Oct
「珪藻土のバスマット、吸水性が悪くなったので捨てました」
ある日、SNSを見ていた編集長の目に飛び込んできたのは、こんな衝撃の一言でした。
珪藻土バスマットは、お手入れさえすれば何度でも復活します。それも簡単な方法で! でも意外にそれを知らない方も多いのだということを、今回知らされた編集長。
「珪藻土の正しい情報を、もっと多くのことに知っていただかなくては!」ということで、珪藻土の秘密を大公開するよう命を受けたのが、わたくし坂田です。フジワラ化学工業株式会社ホームケア事業部事業部長の武田辰郎さんにじっくりとお話をうかがいましたので、ぜひ最後までご覧くださいね。
INDEX
珪藻土バスマットのお手入れ法
珪藻土についてお話しする前に、まずは珪藻土バスマットのお手入れ方法についてお話しさせてください。
珪藻土バスマットは確かに経年劣化し吸水性が衰えますが、以下の方法で復活させることができるんですよ!
- サンドペーパー(300番台がおすすめ)で表面を磨く
- 出てきた粉分を水でさっと流す
- 陰干しして、完全に乾かす
たったこれだけで、吸水性は復活しますので決して捨てたりしないでください。でも脂のせいで吸水性が落ちているからと、食器用洗剤などで洗うのはNGです。目詰まりしてかえって、吸水性が落ちる可能性があります。
珪藻土バスマットはなぜ復活する?その秘密は珪藻土の特性にあり!
そもそも珪藻土って何でしょうか?
珪藻と呼ばれる植物性プランクトンが、長い年月をかけて化石になります。この珪藻の化石からなる岩石あるいは土のことを、珪藻土と呼びます。
大きく分けて、海底で形成された「海成珪藻土」と、湖底で形成された「湖成珪藻土」の2種類がありますが、水の底から取り出しているわけではありません。隆起して地上に露出していることが多いため、野堀で採取されているんですよ。
こんな写真、初めて見ました! ここから珪藻土バスマットが生まれるなんて、なんか不思議です…。
そうですよね。珪藻土素材の特性には、「調湿性」「脱臭性」「耐熱性・耐火性」などさまざまありますが、その中でも吸湿・放湿を行う「調湿性」は、特に優れているといわれています。
これらの珪藻土の特性を生かし、いろいろな製品が作られているんです。バスマットもそのひとつですね。
珪藻土自体に調湿性があるということですが、具体的にはどういうメカニズムなんでしょう?
周りにある水蒸気をいったん珪藻土が蓄え、周りが乾燥したら珪藻土から水蒸気として吐き出します。
この調湿メカニズム自体は衰えませんが、バスマットのように人の身体に触れることで表面が汚れて、このメカニズムが機能しなくなれば吸水性も衰えてしまいます。
だから、この汚れをサンドペーパーなどで落としてしまえば、また吸水性も復活するということなんです。
なるほど! これを知っていれば、捨ててしまうなんてもったいないこと、できませんね(笑)。
調湿性といえば「漆喰」珪藻土と漆喰ってどう違うの?
珪藻土といえば、壁材としても知られていますよね。でも調湿性のある壁材といえば「漆喰」もあると思うのですが、どう違うんでしょうか?
「珪藻土」が植物由来の自然素材なのに対し、「漆喰」は鉱物由来の工業製品なんです。
「珪藻土」はその調湿性の高さから押し入れの壁や内壁に向いている素材ですが、常に水が供給されるお風呂場には向きません。一方「漆喰」はお風呂場の壁材としての使用も可能となっているようです。ただし漆喰の壁に調湿性を求める場合は、下地は石膏ボードではなく土壁を使用する必要があります。
珪藻土の壁、漆喰の壁、それぞれの利点を考慮して使い分けられると良いと思いますよ。
そもそも元になる素材が違うんですね。お話を聞いていると、珪藻土のほうが漆喰より調湿性に優れているということでしょうか?
いえ、そういうわけではありません。実際に販売されている珪藻土や漆喰の能力は一律ではないので、簡単に比べることはできません。調湿性の高さを計る目安として「吸湿能力」があります。日本工業規格(JIS)では、内装用調湿性塗壁材の吸放湿特性値は70g/平方メートル以上と定められています。
だから選ばれるときは、JISが定めた「吸湿能力」をチェックされると良いと思います。ちなみに、フジワラ化学株式会社の製品はすべてJIS規格の吸放湿特性値をクリアしています。中には倍以上の160g/平方メートルを誇る製品もありますよ
それは安心ですね。選ぶ際の基準にしたいと思います。
珪藻土には発がん性物質が含まれている!?
ところで、珪藻土に「発がん性物質が含まれている!?」「ドイツでは使用禁止となっている!?」なんて話を耳にしたことがあるのですが、本当なんでしょうか?
いえ、それはまったくの誤解です。
WHO(世界保健機関)の下部機関IARCによる評価分類(2007年3月現在)は、「ヒトに対する発がん性について分類できない」となっているので、安心してください。
分類 | 発がん性に関する評価 | 例 |
---|---|---|
1 | ヒトに対して発がん性を示す | アルコール飲料・タバコの煙等101種 |
2A | ヒトに対して恐らく発ガン性を示す | ディーゼル排ガス・紫外線など69種 |
2B | ヒトに対して発ガン性を示す可能性がある | コーヒー・漬物・ガソリン等245種 |
3 | ヒトに対する発ガン性について分類できない | 珪藻土・お茶・軽油等516種 |
4 | ヒトに対して恐らく発ガン性を示さない | カプロラクタム(ナイロンの原料)1種 |
建材・壁材として、珪藻土の使用を禁止しているドイツ連邦の法規も存在しません。
こんな情報がなぜ流れてしまったのかわかりませんが、何でも鵜呑みにせず、自分で正確な情報を取捨選択することも、今の時代必要ですね。
植物由来の珪藻土、正しい知識で活用しましょう!
一般的には、ここ数年「バスマット」としての活用が広まり、最近では100円均一のお店でも珪藻土製品が増えています。
珪藻土自体は調湿性に優れているものですが、製品ごとに「吸湿能力」には差があるようですから、製品選びは慎重にしたいものですね。
あと、編集部が声を大にして言いたいのは「珪藻土バスマットは、簡単に捨てないで!」ということ。製品のもつ能力をきちんと知って正しく利用し、長く活用していただければと思います。
※この記事の内容は、2018年3月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。
ほかにも珪藻土について知りたい方はこちらもどうぞ!