一般接着剤VS専用接着剤、プラスチックの接着で優れているのはどっち?
10
2019
Dec
プラスチック同士をくっつけたいと思ったときは、どんな接着剤を選びますか? 最近は「プラスチックをくっつける」多用途弾性接着剤も多数登場していますから、それを選ぶ方も多いと思います。
でも実は「専用接着剤」というものがあるんです。専用というだけあって、なかなかすごい接着剤なので、紹介しますね!
INDEX
プラスチック専用接着剤は一種類じゃない
接着剤の話をする前に、プラスチックについて少しお話しさせてください。プラスチックといっても、「ポリ塩化ビニル」や「アクリル樹脂」など、性質の違いによっていくつもの種類に分けられます。
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だから「プラスチック専用接着剤」といっても一種類ではなく、それぞれ「ポリ塩化ビニル専用接着剤」「アクリル樹脂専用接着剤」など、プラスチックの種類ごとにいくつかの専用接着剤があるというわけです。
仕上がりの美しさは専用接着剤の圧勝!
今回はプラスチックの中でも特に透明度が高くて美しい「アクリル板」を使って実験しました。左側が一般接着剤(今回は瞬間接着剤を使用)、右側がアクリル樹脂専用接着剤を使用したものです。どちらもしっかり接着できましたが、時間が経つと一目瞭然! 一般接着剤は接着部分が白くなったのに対し、専用接着剤は透明のままです。これは、接着の方法が全く異なるためです。
- 一般接着剤 接着剤がアクリル板の間に入り接着させている
- 専用接着剤 接着剤(溶剤)がアクリル板と溶け合うことで接着させている
アクリル板の透明感を利用した物を作るには、「専用接着剤が良い」ということが実験から判明しました。
専用接着剤は万能ではない、でも裏技も!
専用接着剤は、特定のプラスチックにしか使用することができません。たとえば、「アクリル樹脂と木材を接着したい」「ポリ塩化ビニルと木材を接着したい」となれば、多用途系の一般接着剤をおすすめします。
ところがもうひとつだけ、裏技があります。それは違う性質同士のプラスチックを接着する場合です。たとえば「アクリル樹脂とポリ塩化ビニルを接着したい」ときは、アクリル樹脂専用接着剤とポリ塩化ビニル専用接着剤を混ぜて使えばOK。キレイに、しっかりと接着することができます(十分に換気してください)。
水槽を作るには技術が必要
実験結果からもわかるように、専用接着剤を使うと、一般の接着剤よりも美しく仕上がります。ただ、本当に美しく仕上げようとすると、技術も必要です。
たとえば、沖縄のちゅら海水族館。あの巨大な水槽はアクリル樹脂でできていますが、厚さはなんと60cm。厚さが60cmのアクリル板があるわけではなく、アクリル板を幾層も重ねて作られているのです。そこで、“重合接着”の出番です。水槽の透明度の高さを保つため、よりきれいに接着するには、プロの技が必要な重合接着という技術があります。
専用接着剤の弱点?かつては5年後に思わぬクレームが!
専用接着剤は、液体で揮発性があります。現在は中蓋が付いていますが、20年以上前の製品には付いていませんでした。当時は新品のまま5年放置していたお客様から、「中身がからっぽじゃないか」というクレームがきたこともあるそうです。一度開封した接着剤は、なるべく早く使うようにしましょう。
プラスチック同士をくっつけたいときは用途に合わせて接着剤を選ぼう
プラスチック専用接着剤があるということを知らなかった方もいらっしゃるかもしれませんね。一度開封したらなるべく早く使う必要があることから、ちょっとした補修や色付きのプラスチックなら一般接着剤の使用でも十分かもしれません。
それぞれの特徴を元に、上手に使い分けていただければと思います。
※この記事の内容は、2017年9月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。