厄介者だったシラス台地の火山灰が今や注目の天然素材に!
07
2020
Jan
今注目の天然素材「シラスバルーン」って、聞いたことありますか? シラスバルーンの原料は、九州南部を中心に分布するシラス台地から採掘された「シラス」。2万5千年前の火山噴火で堆積した火山灰です。災害の原因になったり、作物を育てるのに不向きだったり、どちらかというと厄介者だったシラスですが、今これが「あらゆる可能性を秘めた天然素材」として大きく注目されているのです。
今回はこのシラスバルーンについて、ガナ・ジャパン株式会社事業本部の中原さんにお話をうかがいました。
INDEX
歴史はまだ浅い?でもすっごい天然素材「シラスバルーン」
シラスバルーンって、そもそも何ですか?
シラス台地の火山灰である「シラス」を約1000℃の高温で発泡させたのが、中が空洞の微細粒素材「シラスバルーン」です。
多孔質で吸湿性に富んだこの微粒子は、「軽量」「研磨性」「調湿性」「保水性」「消臭性」「遮音性」「断熱性」「耐熱性」と、さまざまな特長をもっているんです。
何かすごそうな素材ですが、古くからあるんですか?
いえ誕生したのは約20年前で、厄介者だったシラスをどうにかできないかと考えた末に、偶然生まれた産物といえます。
さまざまな特長があることは研究ですでにわかっているのですが、なぜそのような特長をもつのか、原理はまだ解明されていないんですよ。
それは! なんとも神秘的な素材ですね。
「シラスバルーン」は特長が多いから、用途は無限大!?
そのような特長を生かして、どのように活用されているんでしょうか?
いろいろありますが、実際に活用されているものをいくつか紹介します。
・軽量コンクリート
非常に軽いシラスバルーンを練り込むことで、強度はそのまま、軽量なコンクリートを作ることができるように。全国の土木・建築の場で重用されているそうです。
・緑化対策
調湿性、保水性があることから、緑化対策にも使われています。軽いことから、ビルの屋上などでも重宝されているようです。
・洗顔料
シラスバルーンの粒子を揃えることができるようになったため、肌を傷めることなく洗うことができるとして、人気の製品です。
思いもつかないところで、幅広く活用されているんですね!
シラスバルーンから生まれた新発想の「水垢取り」
実はシラスバルーンから生まれた画期的な水垢取りの製品があるんです。
水垢というと、あのお風呂の鏡についてしまうアレですよね?
はい。世の中には、約60種類以上の「水垢取り」製品がありますが、そのすべては「削り取る」「溶剤で溶かす」このどちらかの原理で水垢を落としています。
でもこの『すっごい水垢取り』は、「はがして取る」タイプなんです。この方法で水垢を取っているのは、この製品だけなんですよ。
削り取ったり溶剤で溶かしたりというのでは、ダメなんでしょうか?
水垢は放っておくと堆積していき、幾層にも積み重なってガンコな汚れになっていきます。
削り取ったり溶剤で溶かしたりする方法では、最後の層までしっかり取ることができないんです。パワーをアップさせることで取れる場合もありますが、それは同時に鏡まで傷つけることになってしまうんですよね。
私も今までいくつもの水垢取りを試してきましたが、確かに鏡が傷ついていたかも…。
でもこの製品は、堆積した水垢のすき間に微細粒のシラスバルーンが入り込み、水垢の層を全部はがし取っていきます。表面が滑らかなシラスバルーンは、水垢をはがしても、鏡は傷つけないんですよ。
しかも水垢をはがし取ったあとの鏡は、シラスバルーンのおかげでツルツルピカピカに。ツルツルピカピカの鏡には水垢が再付着しにくいんです。新品の鏡にすぐに水垢が付かないのと同じ原理ですね。
はがして取る天然素材「シラスバルーン」の魅力
これまで厄介者だった素材に、新しい命を吹き込んだ「シラスバルーン」。しかも天然素材だから、体にも環境にも良いということが、とても魅力だと感じました。
このシラスバルーンの特長を生かすことで、まだまだ活用シーンは広がりそうですね!
※この記事の内容は、2019年4月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。