セキュリティ万全のカギを作ってみた!?
26
2020
Mar
金物が大好きなイラストレーターの津村さん(いいものマガジン編集部員)。符号錠について学んできた結果、「すっごいカギを作ってみたくて…」とこーんな設計書を作られました。
ジャジャーン! 10桁の符号錠です。これならセキュリティ万全じゃないですか?
お〜すごい! 確か符号錠(文字合わせ錠)は、桁数が上がれば上がるほど通り数が増えるので、その分セキュリティも上がるんですよね。それにかっこいい〜♪
なんて盛り上がっていると、和気産業のベテランカギ担当の佐々木さんから、思わぬ横槍が…。
ちょっと待ってください! そんなの作っちゃったら、大変なことになっちゃいますよ!!
INDEX
セキュリティ面でいえば5桁で十分?
え…ダメですか?
まずセキュリティに関していえば、5桁でも十分だと思います。番号の組み合わせは2桁で100通り、5桁になると100,000通りにもなるんです。
そうなんですか! でも、10桁になるとさらに通り数が上がるから、よりセキュリティが上がるってことになりませんか…?
まぁ、理論的にいえば、そうなんですが。正直必要性はないと思います。たとえば、暗証番号を忘れた際には順番に「00」「01」「02」と番号を合わせて確認するしかないんですが、その所要時間はだいたいこんな感じです。
桁数 | パターン | 通り数 | 所要時間 |
---|---|---|---|
2桁 | 00〜99 | 100通り | 10〜15分程度 |
3桁 | 000〜999 | 1,000通り | 20〜30分程度 |
4桁 | 0000〜9999 | 10,000通り | 7時間程度 |
5桁 | 00000〜99999 | 100,000通り | 不明 |
右側の「所要時間」をみてください。私が実際にやってみたのですが、4桁で7時間。5桁は実際に試していないので不明ですが、単純に計算して10倍だから、70時間。約3日もかかってしまいます。
それは、すごい。でも、これを佐々木さんが実際に試されたってすごいですね。なぜ、やってみようと思われたんですか?
3月〜4月は問い合わせ急増!「カギが開きません」
いや、もちろん。やりたくてやったわけでは…(慌)。
実はですね、この符号錠って自分で番号を決めて合わせられるのがメリットなのですが、3月〜4月に問い合わせが殺到するんです。特にこのカラフルなアルミのカギです。
どういった方から問い合わせがくるんでしょうか?
小中高の新入生の保護者さんですね。これは学校のロッカーで使われることが多いんですが、初めて使うお子さんが多いですから。「カギが開きません。買ったばかりなのに、壊れたんですか?」といったような内容ですね。
「カギが開かない?」具体的に、どういうトラブルですか?
お子さんが初めて使う場合、多くのご家庭ではご両親がカギの番号を設定し、番号と使い方をお子さんに教えていただくと思います。
でも、お子さんがよくわからずに使っていると、無意識に番号を変えてしまうことがあって、「設定した番号では開かない。壊れているのでは?」ということになってしまうんです。
番号の設定の仕方
番号の設定の仕方(動画)
なるほど。可変式のカギだから、お子さんが無意識に触っているうちに意図せず番号を変えてしまっているんですね(汗)。
そういうことです。
その問い合わせがきた場合、どう対応するんですか?
変わってしまった番号を、順番に数字を合わせて確認するしかないんですよ。だから、お客さまにその対応をお願いするか、可能であればカギを送っていただき、私が地道に作業をする…という方法で対応しています。
なんと! だから、さっきのような表が作れたわけですね。
そういうことです…。まぁ、仕組みさえ理解していただければ失敗されないので、5月以降は問い合わせがピタリと止まります。でも、そういうことにならないよう、特に小学1年生など初めてお子さんが符号錠を使われる場合は注意していただきたいですね。
結論…取扱説明書を読もう!
今回は、津村さんのアイディアを発端に、思わぬお話を聞くことができました。
符号錠に限らず、「正しい使い方」を知らないせいで困ってしまうことって、実はよくあるのかもしれません。
最近は、検索すれば解決策がすぐにわかる場合も多いです。でも失敗しないのが一番なので、必ず取扱説明書を読んでからやってみるのが良いですね。面倒がらず、「まずは取扱説明書を読む」という習慣をつけるようにしてみてはいかがでしょうか。
※この記事の内容は、2020年2月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。