便利なスマートキーが実は問題を引き起こす!?解決策として誕生したシールドBOX【開発秘話】
26
2020
Mar
カギを持っているだけで、鍵穴にカギをさしたりボタンを押したりすることなく解錠施錠ができるスマートキー。ここ数年、車のカギとして普及してきましたね。微弱な電波の力を使うため、「カギを持ってドアに近づく」だけで良いので利便性や防犯性の高いカギとして普及しています。
でも、このカギ、特に車のスマートキーで困っている人がいる…という話を聞きつけた和気産業のスタッフ。「その困りごとを解決できる商品を作ろう!」と立ち上がりました。
しかしその道のりは果てしなく遠く…。開発までに3年以上を要した「電波シールドBOX」開発秘話を、今回は和気産業の小宮さんからおうかがいしました。
INDEX
スマートキーのせいで車から離れられない?その困っていた人はサーファーでした
サーファーの方は、車で海へ行きサーフィンを楽しまれるのですが、問題は車のカギ。防水ケースを利用して携帯するか、スペアキーボックスに入れて車につけておくか、どちらかの方法を取られることが多いのだそう。
でも、この方法、スマートキーでは無理なんです。万が一水が入ってしまうとカギ自体が壊れてしまう可能性がありますし、車につけておいては微弱な電波により常に解錠されているような状態になってしまうからです。
また番号を合わせるタイプのダイヤル式スペアキーボックスでは、「手がかじかんでいると操作しづらい」「暗い場所では見えづらい」といった問題点も感じていたそう。
この悩みを聞きつけ、小宮さんをはじめとした開発チームのプロジェクトがスタートしたのでした。
ミッションその1「電波を完全に遮断せよ!」
うちの車もスマートキーですがサーフィンの経験はゼロなので、こんなお悩みがあるなんて初めて知りました。
カギはやはり車につけて保管したいようなので、まずクリアすべきは「電波を遮断すること」でした。最初はアルミの袋に入れたらそれでいいだろう…なんて軽く考えていたのですが、実は大間違いで。ここをクリアするのに約1年かかったんですよ。
え、1年もかかったんですか? アルミの袋じゃ何がダメだったんでしょう?
袋を2枚重ねにしたり4枚重ねにしたり、アルミの厚みを変えたり、いろいろ試してみたのですが、袋の開口部分やつなぎめから、微量の電波がもれてしまうんです。
完全に電波を遮断できなければ意味がありませんからね。ほんの少しのすき間もないようにするにはどうすればいいのか、悩みに悩みました。
アルミの袋がダメだとわかって、次はどうされたんですか?
筐体(ケース)そのもので電波を遮断するしかないなと思いました。ケースをアルミ合金で作ったのですが、ケースは開閉する必要があるため、どうしてもつなぎめなどにすき間ができてしまうんですよね。そこで思いついたのが「シールドガスケット」です。
シールドガスケット? どんなものですか?
コードなどからでる電波を遮断するためのもので、さまざまな製品に活用されているものです。ケースのすき間を埋めるように、これを組み込むことで、電波を遮断することにようやく成功しました。
この遮断力は強く、携帯電話が圏外になるレベルを達成することができたので、安心して世に出せると思いました。
ミッションその1「電波を完全に遮断せよ」はクリアですね!
ミッションその2「簡単操作と防犯性を両立せよ!」
サーファーさんのもうひとつのリクエストは、「かじかんだ手でも操作できる」「暗くて見えないようなところでも操作できる」でしたね。
はい。確かに番号を合わせるダイヤル式は、回しにくいときがありますからね。手袋をしていたり、手がかじかんでいたりするとなおさらだと思います。そこでプッシュボタン式にしたんです。
なるほど、こんなボタンなら見えないところでも押しやすいですね。でも、どうやって解錠したり施錠したりするんですか?
説明書を見ていただくとよくわかると思いますよ。はじめにリセットボタンを押してもらって…。
シールドBOX解錠の仕方
(説明書のイラストをクリックすると別タブで画像が開きます)
シールドBOX施錠の仕方
(説明書のイラストをクリックすると別タブで画像が開きます)
わ〜ほんと。簡単ですね。でも何だか簡単すぎて防犯性が気になります…。
いえいえ! 簡単そうに見えるかもしれませんが、このボタンの裏側には数多くの部品が使われていて、内部構造は結構複雑なんです。だから開発中に不具合が出ても、1カ所を直せばいいのではなく、関連する多くの部品を調整しなくてはいけなくて…。この構造部分の調整には2年以上もかかったんですよ(涙)。
そうとは知らず、失礼なことを言ってすみません! 簡単に見えるけれど、実は複雑な構造で防犯性も高いんですね。
わかっていただけたらうれしいです。実はこのボタン部分は特許申請中なんですよ。
特許ですか! それは、すごい!!
ありがとうございます。
スマートキーはさらに普及、まさに時代にマッチしたシールドBOX
今回は、サーファーさんのために開発されたということですが、スマートキーって、今後も普及していきますよね?
そうですね。車だけでなく家のカギがスマートキーになっているというお宅もすでにあります。カギをカバンやポケットの中からださずに解錠できるので、便利です。
ただ現在の家庭用スマートキーは、玄関ドアから2.5m以内に置いてあると解錠してしまうという仕組みなんです。だから、玄関付近に置いておくのは危険なんですよ。
でも家のカギって、玄関付近に保管しているご家庭が、多いですよね?
そうなんです。だから、このシールドBOXに入れて玄関に保管すれば、電波を遮断できるので安心ですよ。アルミの袋に入れてからカギ付きのボックスにしまうといった製品もありますが、これはそのまま入れるだけなので利便性も良いと思います。
あと、リレーアタックにも対応できますか? といった問い合わせがくることもあります。
リレーアタックって、何かニュースで聞いたような…?
特別な機械を使って、車とカギの電波を拾い自動車のロックを解除して車を盗むといった事例が問題になっていましたね。電波を遮断できるシールドBOXは、スマートキーに関わるさまざまな問題の解決につながるのではと思っています。
なるほど、サーファーさんのお悩み解決のために開発されたシールドBOXは、今後いろいろな場面で活躍する可能性を秘めているというわけですね。
スマートキーをご利用の方は、一度シールドBOXをチェックしてみてはいかがでしょうか? サーファーのお友だちがいる方は、ぜひ教えてあげてくださいね。
※この記事の内容は、2020年2月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。