明るいところで守ってくれる?「蛍光」が光る仕組みとは
29
2020
Sep
「蛍光」と聞いて、何を思い浮かべますか? 蛍光ペン、蛍光テープ、なんか派手な感じの色…。そんな印象をお持ちの方が多いと思いますが、実は私たちの身の回りでとっても活躍してくれている存在なのだそう。
今回は、「蛍光」製品の日本シェアNo.1であるシンロイヒ株式会社営業部の松崎さんにお話を伺いました。
INDEX
蛍光は日々の生活で私たちを安全に導いてくれている?
蛍光素材は、光に反応して日中明るく光る素材ですよね。
はい。紫外線に反応して、鮮やかな色彩がより目立つようになります。視認性の高い素材といえます。
昼間、明るいところで目立つということですよね? どういう場面で使われているんでしょうか?
例えば、駅のホームにあるCPラインです。CPは「Color Psychology(色彩心理学)の略で、色にも意味があるんですよ。危険を示す赤やオレンジが採用されることが多く、「これ以上進むと危ない」ということを示しています。
ホームでスマホを見ながら歩いている人とか危ないですもんね。確かに目立つ色ですよね!
他にも、道路のカーブの側面や桁下表示、工事現場などでも多く使われています。一般の方はあまり目にしないかもしれませんが、ヘリポートでもよく使われていますよ。
確かに目立つことで注意喚起を促してくれますよね。知らないうちに、蛍光素材に守られていたんですね〜。
似たような素材として、「蓄光」や「反射」がありますが、この2つは暗いところで目立つ素材です。
夜守ってくれているのは「蓄光・反射」ですが、昼に守ってくれるのは「蛍光」なんですよ。
蓄光って何?という方はこちらもチェック
反射って何?という方はこちらもチェック
蛍光はなぜ目立つ?光と色の関係とは
ところで蛍光って、鮮やかに発色していますけど、色のもつ力ということですか?
色のもつ力というか、光が大きく関係しているんです。光といってもそれぞれ波長が違って、紫外線は10〜380nm、可視光線は380〜800nm、赤外線は800〜1000nmといわれています。これらは、太陽の光に含まれているものです。
そういえば、蛍光は「紫外線に反応している」とおっしゃってましたよね?
私たちが物体の色を認識するためには、物体が受けた光のうち、物体固有の成分を反射するプロセスが必要になるんです。反射しなかった成分は物体が吸収するのですが、蛍光以外の色は可視光線のエネルギー以上の色は受け取ることができないんです。
でも蛍光は、可視光線よりエネルギーの強い紫外線を可視光線に変換する性質をもっているんですよ。だから、紫外線を浴びることで、より鮮明に映るというわけなんです。
明るいところで蛍光が鮮やかに見えるのは、紫外線の力によるものなんですね。
そうです。このイラストのように、太陽光には「紫外線」「可視光線」「赤外線」が含まれていますが、蛍光が鮮やかに見えるのは、この中の「紫外線」の力によるというわけです。
紫外線は外だけではなく部屋の中でも届くといわれていますからわかりづらいですが、紫外線のまったく当たらない暗い部屋で、紫外線であるブラックライトを当てるとわかりやすいですよ。
ほんとですね! 確かに、ブラックライトが当たっている部分だけが光ってみえますね。蛍光が光る仕組みがわかりました。
安全面だけじゃない!蛍光ならではのエンタメ性も
蛍光って目立つから、安全安心のために使われることはわかりましたが、目立つことを利用して他の使い方もできそうですよね?
そのとおりです。ボディペイントとして使われる例もありますよ。
テーマパークとかフェスとかで、こういうペイントしている方見かけますよね。
あと最近発売されたもので、「蛍光スノースプレー」っていうのがあるんですよ。
雪の上に書けるんですね! スキー場とかで役立ちそう。
はい。雪が多い地域は危険も多いので、その注意喚起に役立ててもらおうと考えた製品です。実際に雪を購入して試験を重ねました。
雪を購入! すごいですね!
雪が溶けると自然に返るわけですから、とにかく安全性の高さを重視したんです。
結果、安全性が高い水性、扱いやすいものを選びました。
色付けとして配合している着色剤は人体や環境にも優しいものを使っているんです。化粧品などにも使われるものなので、人が触れても問題ありません。
それならお子さんにも安心ですね。安全のためのものだけど、雪遊びに使っても楽しそう!
そういう声もいただいて、実はエンタメとしても楽しめる小さなスプレー缶などの販売も、今後は考えているんです。
いいですね! 蛍光って、私たちを守ってくれるだけでなく、楽しませてくれる存在として、もっと活躍の場を広げてくれそうです。これからも、いろんな製品を作ってくださいね!
はい! がんばります。
※この記事の内容は、2020年7月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。