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キャスターで働き方改革!?500kgを片手で軽々その実力とは?

キャスターで働き方改革!?500kgを片手で軽々その実力とは?

26

2020

Oct

キャスターというと、みなさん何を思い浮かべますか? 家具に取り付けて動かしやすくしたり、収納道具につけて使いやすくしたり、暮らしをちょっぴり便利にしてくれるものと認識している方が多いと思います。

でも実は、キャスターの実力ってそれだけじゃないんです。職場の環境を改善したり作業負荷を軽減したり、なんと働き方改革に貢献するほどのチカラをもっているようなんです。

今回は、業界第2位のキャスター専門メーカー、株式会社YUEI(ユーエイ)キャスター事業部大阪支店主任、森隆さんにお話を伺いました。

キャスターは職場や家庭で大活躍!

坂田
坂田

キャスターというと、うちの中でもいろいろお世話になっています。ゴミ箱はキャスター付きですし、DIYで手作りしたワゴンにもキャスターを取り付けています。

森さん

ありがとうございます。キャスターはご家庭で使われることも多いですが、工場や職場などでも使われているんですよ。

坂田
坂田

考えるとそうですよね。宅配業者さんや酒屋さんなんかの台車もそうですし。

森さん

ほかにも、お店の陳列棚や冷凍ショーケース、会社の複写機や機械装置、家具など、本当に多くのものに使われています。

キャスターが使われている場所や物
坂田
坂田

重いものを運べて便利だなと思いますが、最大どのくらい運べるんですか?

森さん

実は、1トンくらいのものもラクに運べるキャスターもあるんですよ。

坂田
坂田

え? 1トンですか??

重い荷物の運搬作業を劇的に改善!

森さん

うちは自社生産しているので、お客さまから個別に「こんなものを運びたい」「こんなことで困っているんだ」という声をダイレクトにいただくことが多いんです。そこで、ご要望をもとに商品開発しているんですが、最近発売した2つの製品は、とても喜ばれています。

坂田
坂田

そのひとつが、1トンのものも運べるキャスターなんですね。

森さん

はい。『プレミアムウレタンキャスター』は、1個あたりの耐荷重が最大約400kgです。計算上は安全荷重(400kg×0.8)で計算しますので、耐荷重は(400×0.8)×4(個分)=1,280kg、つまり1トン以上のものも運べるという製品です。

弊社の調べで、耐荷重性能は約1.25倍という結果がでています。

耐荷重(圧縮試験)のグラフ
森さん

さらに重い荷物を少しでも負担なく運んでいただけるよう、旋回始動力の向上にも努めました。

坂田
坂田

旋回始動力って何ですか?

森さん

台車などは、まっすぐ動かすだけでなく、旋回させて使いますよね。このとき抵抗力が働くんです。抵抗力が強いほど動かすのに労力がかかります。

なんとこの製品は従来品に比べて、旋回始動力を約5分の1に押さえることに成功しました。

旋回始動力試験のグラフ
坂田
坂田

5分の1とはすごい! 職場で重いものを運ばれている方にはうれしいですね。

森さん

500kgのものを片手で動かせるほどの実力があり、すでに導入されている会社さんからも喜ばれています。その会社では、1トンの製品を運ぶのに、それまで台車を使って10人がかりで作業されていたそうなのですが、『プレミアムウレタンキャスター』を使ってから5人での作業が可能になったそうです。

坂田
坂田

作業負荷を減らして、さらに運搬作業の人員まで減らせるなんて、労働環境を改善されたわけですね。まさに働き方改革の一端を担ってくる製品ですね!

段差の乗り越えを可能にすることで作業効率改善!

坂田
坂田

2つめの製品は何でしょうか?

森さん

『段差乗り越えキャスタ-』です。台車につけることで段差をスムーズに乗り越えられるというものです。

坂田
坂田

なるほど。私は以前百貨店の和洋酒売り場で働いていたことがあって、そのとき重い台車を操作していました。ちょっとした段差なんかは、力技で上がっていましたが、意外と大変なんですよね。

森さん

そうなんです。これもお客さまの声なのですが、物流の現場などで特にお困りとのことでした。段差にぶつかったときの衝撃や無理な乗り上げで荷崩れしてしまう。だからといって手作業で持ち上げるのも大変。さらには道路にある段差をわざわざ迂回しなくてはいけず、作業効率が悪くなるなど…。

坂田
坂田

なるほど、そうですよね。

森さん

そこで、補助車輪(前輪)をつけて最大40mmの段差を乗り越えられるキャスターを開発したんです。

これがその段差乗り越えキャスターです
坂田
坂田

わ! なんかカッコイイですね!

森さん

ありがとうございます。デザインにもこだわりました。

後輪が段差にぶつかって押し返されると、補助車輪である前輪が路面を押す力に変換されるんです。

段差乗り越えキャスター仕組み
段差を乗り越える画像
坂田
坂田

すごいアイデアですね!

森さん

これを採用いただくことで、スムーズで安全な運搬が可能になったとのことです。迂回時間の低減にもつながり、業務の効率化も図れたと喜んでいただいています。

さまざまな工夫で高性能なキャスターが生まれている!

これまでもキャスターの便利さは知っていたつもりでしたが、新しい製品が開発されて、さまざまな困りごとを解消されているということを知り、キャスターにさらに興味がわいてきました。

株式会社YUEIさんは、毎年新しいものを開発しようと努力を重ねていらっしゃるそうです。次はどんなキャスターが登場するのかも注目していきたいと思いました。

※この記事の内容は、2020年9月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください

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2020.10.26
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