ねじに規格がないってホント?ねじの種類が膨大な理由に迫ってみた!
24
2021
May
「ねじって何でこんなに種類が多いんだろう?」
そんな疑問を感じた、和気産業のあらいもんとにピ。若井産業株式会社の福井さんに、インタビューしてみました!
倉庫の整理をしていて思ったんですけど…。何でねじの種類ってこんなに多いんでしょう?
用途によって、材質や形状が異なるため、本当にたくさんの種類があるんですよ。
まず「ねじ」には、JIS規格があるものとないものがあるんです。
JIS規格ねじの代表的なものとしては、3種類あります。
(イラストをクリックすると別タブで開きます)
JIS規格ねじ
・小ねじ:めねじがある相手材やナットに使用する、比較的小さなねじ
・木ねじ:先端がとがっていて木材に使用することができるねじ
・タッピンねじ:めねじがない相手材(木材や薄い金属等)に、ねじ山を形成しながら使用するねじ(下穴必要)
さらに、JIS規格がない「ねじ」というのも数多く存在するんですよ。
規格がないんですか?
先ほど紹介した「木ねじ」をもっと使いやすくするために、さまざまなメーカーが、独自の規格でいろいろなねじを開発してきたんです。
なるほど。独自の規格だから、どんどん種類が増えたんですね。
そういうことです。もちろん建築用などJIS規格を満たしているものもあります。
ちなみに、弊社では木ねじから派生したこれらのねじのことを「造作ねじ」と呼んでいます。
「造作ねじ」ホームセンターでもそのように書かれているのを見たことがあります。
私はこの先の部分が気になったんです。よく見ると、それぞれ違うのはJIS規格がないからでしょうか?
そうですね。ねじの形状は大きく「頭部」「胴部」「先端部」に分かれているんですよ。
じゃあ、私が気になったのは、この胴部と先端部ですね。
そうなりますね。胴部の形状もいろいろな種類があります。木材用のねじでよく見かける形状としてはコーススレッドのような「荒目の一条ねじ」と、万能ねじや内装ビスと呼ばれる二種類のねじ山で形成される「ハイ&ロー形状の二条ねじ」などがあります。
一条ねじには「細目」もありますよね。これは巻き具合の違いですか?
はい。ねじとねじの間が広い「荒目」はねじを打ち込むスピードが速く、ねじとねじの間が狭い「細目」は打ち込むスピードが遅くなります。
ふんふん、なるほど。では、「一条」と「二条」の違いって何ですか?
「一条ねじ」は、このぐるぐるとしたねじ部をたどっていくと1本で繋がっています。「二条ねじ」というのは、二種類の異なるねじ山で形成されているんです。
ねじ部を変えることで、どういった違いがあるんですか?
「一条ねじ」は、ねじ部が1本でつながっていることで、粗目ねじにした場合など、ねじへの負担が大きくなります。そのため、硬い木への作業がしにくくなったり、ときには負荷が大きすぎて、ねじが折れてしまったりすることがあるんです。
しかし二種類のねじで形成される二条ねじにすることで、ねじへの負荷は小さくなります。さらに、ねじ形状や先端形状などを工夫することで、打ち込みスピードを変えることなく、ねじへの負担を減らし、安定した作業が可能になるというわけです。
ねじの巻き具合一つとっても、その工夫がよくわかります。
先端部がさまざまな形状になっているのも、工夫の結果なのでしょうね。
木下地用のねじでよく見かける形状としては、「先割り(先端カット)」というものがあります。
一般的なのは、「尖り先(先端カットなし)」ですよね。どう違うんですか?
先端のカット部が刃の役割をして木材を削っていき、さらに削った木屑を外に出すことができるんです。そのため木材への食い付きがよく、硬い木材にも入りやすいので、作業性が向上するといった特徴があります。
へぇ~すごい。こんな小さなねじの先端に、そんな重要な役割があるんですね。
弊社のねじには、この先端カット角度を大きくした「広角刃」や、4カ所の先端カットがある「4カット」、先端部に加え胴部にもカット加工をした「Wカット」などもあります。
以上は主に、木材などに使われますが、鋼板に使用する場合は、先端にドリルのような刃を加工している「ドリル刃」が適しています。
本当に、ひとつひとつ違うので面白いです。
ねじに多くの種類があるのは、いろんなメーカーさんが「より使いやすいものを」と切磋琢磨した成果なんですね。やはり物作りってすごいなぁと思いました!
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※この記事の内容は、2021年3月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。