DIYなのに、まるで備え付けの棚みたい!SNSで注目を集めるピラシェルシリーズ大解剖!【開発秘話】
22
2023
Dec
ピラシェルシリーズとは?
和気産業が企画販売する壁面収納商品で、支柱にいくつもの棚受けパーツ用の穴がある棚柱の一種。
棚受けに脱落・ブレ防止ストッパーがついていて、簡単に棚板の位置を固定、変更できるのが特長です。
最近、Instagramでピラシェルシリーズを使ったDIYが注目されています。きっかけは2022年の新商品『ピン止め金具』。これまで間柱にねじでとめる必要があった棚柱を石膏ボードにピンで固定できるようになったので、使える場所が大幅に増えたんです。
『ピン止め金具』を使って、素敵な棚を作る投稿が増えて嬉しい限り。これを機にピラシェルシリーズを掘り下げてみようということで、開発担当者の林さんにお話を聞いてみました。
INDEX
備え付けのような棚が作れる!?ピラシェルシリーズとは?
まるで備え付けのような棚が作れるピラシェルシリーズ、すごいですね!
開発経緯やこだわりポイントを教えてください。
ホームセンターから「ビスでとめられる棚受けがほしい」という要望があったのが開発のきっかけでした。従来から棚柱を壁面に取り付けて、棚受けに板をのせるタイプの可動棚は存在していたのですが、棚板をのせるだけだったので、動いてしまうという不満がありました。
それを解決するために、ビスでとめられる棚受けを開発したのが2018年のこと。
当時、1×4材や2×4材を活用したDIYが注目されていたので、1×4材の奥行に合わせて作りました。
ピラシェルができる前から棚柱に棚受けを取り付けるタイプの棚受けは存在していたんですね。棚板がビスでとめられるようになったのがピラシェルの特長ですか?
棚受けは大きく分けて3種類!L型・棚柱・ダボの違いはこちらをチェック
ピラシェルにはそれ以外にも特長があります。新しく開発するのであれば、従来の棚柱にはない特長をと考えたので、固定方法とカラーを見直しました。
従来の棚受けは棚柱に打ち込んで固定する構造で、打ち込むときに壁に負荷がかかることが課題でした。だから、ピラシェルの棚受けは打ち込むのではなく、ストッパーを差し込む形で固定できるようにしました。
また、色も家庭で使うときに馴染む色であるマットな黒と半ツヤの白の2色展開にしました。
固定方法を見直したのは画期的ですね。打ち込むタイプだとハンマーが必要ですが、ストッパーだと手で押し込むだけと簡単です。
人気に伴って改良も!進化するピラシェル
棚受についているストッパーに色がついていないものがあります。これは試作品ですか?
それは発売当初の商品ですね。最初ストッパーは半透明だったんです。
陳列のためにつけている樹脂と同じ色だと、間違って捨ててしまうという声があがったので、改良することになりました。
なるほど。取り付けてしまうと目立たない場所ではありますが、色がついている方がいいですね。
発売前から色をつける案は出てはいたのですが、最低限作らないといけない数であるロット数に見合わず…。
発売を開始して、たくさんの方に興味を持っていただいたおかげで、ロットを満たす数を販売できるようになって、改良に至りました。
商品を開発するときにはロットも関わってくるんですね。
そうなんです。作りたくても、ロット数に見合わないと作ることが難しくなります。
ピラシェルシリーズはありがたいことに、発売してから毎年売上が増えているので、改良したり、シリーズのラインナップを増やしたりすることができました。棚板をのせるタイプの『ピラシェル棚受』や丸棒を通すことができる『パイプ用ブラケット』、穴あきボードを固定できる『ボード止めブラケット』は追加商品です。
一度はボツになったことも!『ピン止め金具』が商品化されるまで
ということは、『ピン止め金具』もピラシェルシリーズ全体が人気になったから発売されたんですね。
実は『ピン止め金具』はそんなにうまくいかなかったんです。
住宅の壁は圧倒的に石膏ボードが多く、間柱がないところに大きな穴をあけず棚を作りたい需要があることはわかっていたので、アンカーやビスを使わず、石膏ボードに棚柱を固定できる金具を作ろうと考えました。そうして試作を作って、実際に取り付けて、商品化を決める会議に出すところまでは順調だったんです。
しかし、会議に出した結果、安全面の問題や、現状でも販売数が増えているから不要という話が出て、開発は一旦ストップ。商品化を検討している他の案件もあったため、ピン止め金具の試作品を壁に取り付けて、強度実験用の重量物を置いたまま存在を忘れていました。
存在を忘れるくらい忙しかったんですね。そこからどうなったのか気になります。
取り付けたのを忘れて1年くらい経った頃、思い出してふと見てみたら、ガッチリ取りついていて強度面も申し分ないことが判明。これはお客様に喜ばれる商品になるに違いないと確信して、再び商品会議に臨みました。忘れている間、無事に取りついていた実績のおかげで、商品化にこぎつけたというわけです。
忘れていたところから、大逆転の商品化…!これまでにない開発秘話でびっくりしました。
小さいけれど、こだわりがつまった『ピン止め金具』
『ピン止め金具』って、ビス穴の位置に合わせて取り付けないといけないんですよね。取り付けるのが難しそうです。
そこはご安心ください。一度、棚柱のすべてのビス穴に金具を取り付けてから、『ピン止め金具』だけを仮固定できる構造にしてあるので、細かく測る必要はありません。
安心しました。パッケージを見ながら取り付ければいいんですね。
そうです。注意してほしいのは、『ピン止め金具』の上下です。
ピンが4本打てる方が上なので、間違えないようにしっかり確認してください。
上下があるのはなぜですか?
ピラシェルは、棚柱の穴に差し込み部分を入れてストッパーで固定する仕組みです。ですから『ピン止め金具』は、ビス穴が近いところに棚受などを差し込んでも干渉しない形状にしています。
もし、逆さまにつけてしまうと、希望の高さの穴が使えなかったり、強度に問題があったりするので、気をつけてください。
穴をふさがないというのは、地味だけど大事なポイントですね。
ピラシェルは白と黒ですが、『ピン止め金具』がなんともいえない色なのが気になります。
お手頃価格で手に取っていただけるように、試行錯誤した結果、この色になりました。
素材の色は需要や取り扱い量によって変わりますが、『ピン止め金具』の製造工場で一番安い価格だったのがこの色だったというわけです。
黒か白だと、違う色の支柱を取り付けたときに目立ちそうなので、淡い色でかえってよかったかもしれませんね。
『ピン止め金具』は緑色ですが、見える部分のねじは黒と白の2色ご用意しているので、ピラシェルのカラーに合わせることができます。
新商品は発売してみないとわからないことがたくさん!
発売当初から販売数が伸び続けているピラシェルシリーズ。
『ピン止め金具』によって、支柱を石膏ボードにも取り付けられるようになったことで、売上だけでなく、SNSでの投稿も増加しました。そのように、お客様からのニーズがある『ピン止め金具』でも、一度はボツになりかけたという話を聞くと、商品は発売してみないとわからないことがたくさんあることがわかります。
今ある商品で十分といわれたけど、あきらめなかった!激強力両面テープ開発秘話
発売して人気が出ると、商品が改良されたり、シリーズのラインナップが増えたりとお客様にとっても、和気産業にとってもいいことばかり。これからもいい商品をお客様に知っていただくため、記事を作ったり、SNSでお知らせしたりしていきます。
※この記事の内容は、2023年9月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。