傘は自分で直せるって知っていますか?「傘職人」誕生秘話から裏話まで
21
2024
Jun
ある日、見つけたXの投稿でプチ衝撃を受けた、和気産業。それは、こんな内容でした。
傘を修理するパーツは、和気産業の定番商品で、50年近く前から存在しているんです。なのに、まだご存じない方も多いのかもしれない…。
そこで今回は、「傘が修理できることを知ってもらおう」という企画です。傘を修理するパーツをご存じない方はもちろん、ご存じの方にとっても「へぇ~」な内容です。ぜひ最後までお付き合いください。
INDEX
傘修理セットの登場は1976年!
今回、「傘は自分で直せる」ということを、まだご存じない方が多いのかも…ということで、『傘職人』について特集することにしました。
私も、和気産業さんでお仕事をさせていただくようになって、初めて知りました。結構、昔からある製品なんですか?
そうですね。「あなたも傘職人」というパッケージで販売を始めたのは、2009年のことです。でも、その前から「カサ修理キット」として販売していて、ハッキリとはわかりませんが、おそらく1976年頃から「かさ修理」のアイテムを販売していたようです。
約50年も前からですか!そもそも「傘を自分で直せる」っていうこと自体、知りませんでした。
そうなんですね。傘の修理といっても、いろんな箇所がありますが、専用のキットをつかえば、結構簡単に直すことができます。
なるほど、骨の部分だけじゃないんですね。「つゆ先」なんて言葉、初めて知りました。
これ以外にも、ベルト部分や石突き部分など、ご自身の傘に合う部品さえ見つかれば、修理は可能です。
傘の先端部分って「石突き」っていうんですね。ここ、知らない間にはずれて、そのまま…なんてことはしょっちゅうでした。
つゆ先は、ご自宅にある針と糸で縫い付けるだけで直せますよ。石突きは、ネジ式なので取り換えるだけでOKです。
お子さんがしょっちゅう傘を壊してくる…というご家庭も多いと思うので、特別な工具なしに直せるのは、ありがたいですね。
『あなたも傘職人』誕生秘話
ところで、「かさ修理セット」を『傘職人』として売り出すことになったきっかけって、何だったんですか?
今は定年退職された方が、「あなたも傘職人」というブランド名をつけて、傘を擬人化したデザインのパッケージを作って、2009年にシリーズ化したのが始まりです。非常に目立つパッケージのおかげで、売場にもわかりやすく陳列できるようになりました。15年経っても古さを感じないパッケージは、素晴らしいなと思っています。
ちょうどその頃、私はECサイトを担当していて、「通販で何が売れるんだろう?」と模索していたところでした。当時、傘の修理パーツの通信販売はほとんどなかったので、需要があると思いました。
なるほど。ECサイトって「検索して商品を見つけられる」ことがメリットですもんね。「かさ修理」などで調べた人が出会ったら、うれしい商品ですよね。
今よりさらに「傘の修理が自分でできる」ことを知らない人が多かったのではと思います。コツさえつかめば結構簡単に直せますので、まずは使い方がわかる「動画」を作りました。
え、動画?今では当たり前の手法ですが、20年も前に作っていたとは、さすが和気産業さんですね。
スマホもない時代ですからね(笑)。私も記憶が曖昧ですが、たしか動画撮影できるカメラをおもちの社員さんに撮影してもらって、それを編集して作りました。しかも、私個人のアカウントで作っているんですよ。
え、10万回も視聴されているじゃないですか!
実は当時、YouTubeの方から「収益化しませんか?」ってお話もいただいたんですよ。
え~それはすごい!で、どうされたんですか?
今はYouTubeで収益化は当たり前ですが、当時は「え、何?怪しい怪しい」って思って断りました(笑)。
あら、もったいない(笑)。
もったいなかったかもしれないですね(笑)。
需要のある商品選定や、わかりやすい動画説明。ECサイトでの販売は順調だったんですか?
いえ、通販で販売するには問題がありました。必要なパーツをそれぞれ購入していただく形をとると、送料の負担が大きすぎて。そこで、使用頻度の高い骨つぎの部分を多めに入れたセットを考えたんです。当時のEC事業部のメンバー3人で、ケースを用意して、パーツを入れて、手作業でパッケージングしました。
それは、今も『e-classy!オリジナル傘修理セット』として販売を続けています。
あ、マンガもありますね!
これも当時スタッフだった、いいものマガジンDIYでおなじみの池村さんにお願いして作ってもらったんですよ。
マンガも今じゃ当たり前ですが、20年前となると…。やっぱり和気産業さんて、昔から斬新ですね!
一度修理するとハマっちゃう!「お客様の声」
こちらのキットを販売するにあたって、鈴木さんも傘を修理されたんですよね。実際、どんな作業が必要なんですか?
私は不器用なので、コツをつかむまでは少し大変でした。というのも、傘の骨組み部分を直すときは、最後にラジオペンチでハトメを押さえる作業が必要なんです。(下記画像④)
部品が小さいし、慣れない工具を使うので、うまく押さえられなくて。失敗したら、どこかに飛んでいってわからなくなるし…。器用な方なら簡単なんですけど。
私も自信ないです…。
だから、『e-classy!オリジナル傘修理セット』には、ハトメをたっぷり入れました。
うれしい配慮ですね(笑)。実際、使用されたお客様の反応はどんな感じですか?
器用な方ばかりなのか、「簡単に直せた」「使い方が簡単でわかりやすい」という声が多いですね。
なるほど、基本的には簡単なんですね。
あとは「お気に入りの傘が直ってうれしい」というお声も多いです。お子さんのお気に入りの傘とか、大切な方にいただいた傘など、「大事な傘」をお持ちの方も多いですから。
思い入れのある傘だと、「骨が一カ所折れただけ」だと捨てられない、でも使えないってジレンマがありそうですね。
また、補修して長く使えるというのが、今の時代にあっていて、受け入れられているのだと思います。
それも大事ですよね。
こんなタイミングで需要が高まる!傘を頻繁に使う方はご準備を
傘の出番というと梅雨が思い出されますが、やはり梅雨時期の需要が多いんですか?
いえ、傘が壊れるのって、雨より風が原因のことが多いようです。だから、台風の後は、お問い合わせがグンと増えますね。
ご覧のように、5月〜9月の需要が高まります。
5月からというと日傘かな。傘というと雨傘をイメージしていましたが、最近は日傘を利用する人が増えていますもんね。この商品があること自体を知っていれば、これからますます利用者は増えていくと思います。
ただ、折りたたみ傘の場合は、注意が必要です。
折りたたみ傘は、自分で直せないんですか?
直せないわけではないのですが、間接部が長傘(なががさ)より多いので、壊れた箇所によっては、部品の長さが合わないことがあるんです。
なるほど、そこはやってみないと…という感じですね。
ほかにも、お客様からは、「骨が折れたけど三ツ爪と四ツ爪どっちがいいか」「サイズは大・小どっちを使ったらいいか教えてほしい」という問い合わせがよくきます。
確かに、私も実際購入しようとすると、そこでつまずきそうです。
残念ながら明確な回答はできません。なぜなら骨の直径や直す場所で「目安」のご提案はできるものの、本当に合うかどうかは試してみないと分からないからです。そのような場合は、「オリジナルセットをご購入いただき、どれが合うか試すのが一番確実です」とお答えします。
オリジナルセットは、税込1,100円ですもんね。確かに個別のパーツを買って失敗するより、こっちを買ったほうが、いいですね。
そうなんです。使わなかったパーツは、今後使える場合もあるので、坂田さんのように考えてくださるお客様が多いようです。私自身も傘の骨を直すときはオリジナルセットからパーツを出し、折れた部分に当てて決めています。
パーツさえあれば、修理は簡単ってことですもんね!
ご自身の傘を直したい、でも直るかどうか不安という方は、事前にカスタマーセンターへお問い合わせください。購入前にご相談いただけますので、ぜひお気軽にご利用いただければと思います。
和気産業さんは、アフターフォローだけじゃなく、事前のフォロー体制もしっかりされていますもんね。私も傘が壊れたときは、自分で修理したいと思います!みなさんも、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
※この記事の内容は、2024年5月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。