DIYレポート
使用感と爽快感を追求したドライシャンプー手袋タイプ!災害時にも重宝する、他製品との大きな違いとは?

使用感と爽快感を追求したドライシャンプー手袋タイプ!災害時にも重宝する、他製品との大きな違いとは?

25

2024

Aug

2024年1月に発生した能登半島地震では、水道インフラが大きな被害を受け、水不足が深刻な問題となりました。そんな中で注目されたのが、手袋タイプの「ドライシャンプー」と「からだふき」です。特にドライシャンプーは、スプレータイプなどの従来品にはない特徴から、使いやすいと高評価を受けているそう。

今回は、その手袋タイプをはじめ、数々の自社商品を開発・販売されている、株式会社本田洋行の商品開発部 営業課長 尾藤慎也さんにお話を伺いました。

水なしで頭スッキリ『ドライシャンプー手袋タイプ』とは?

ドライシャンプー手袋タイプを使う、栗栖さんとつむゴさん
鈴木さん
鈴木

ドライシャンプーというと、スプレータイプが主流だと思っていたのですが、なぜ手袋タイプを開発されたのですか?

尾藤さん
尾藤さん

弊社は1956年3月に愛媛の四国中央市で、製紙用薬品販売会社としてスタートしました。工業用製紙やパルプ、不織布などの卸し、ウェットシート容器のプラスチック成形、不織布加工などの製造部門もあります。

10年程前からは、これまで培った技術を生かした新商品の開発を行い、自社ブランドを立ち上げました。その中で生まれたのが『ドライシャンプー手袋タイプ』です。

鈴木さん
鈴木

なるほど。製紙・紙加工業のプロとして、ウェットシートを知り尽くされているからこそ、生み出された製品というわけですね。

介護用品として誕生した独自ブランド品

尾藤さん
尾藤さん

もともとは、介護用品として開発した商品です。介護の現場では、頭皮をスッキリさせることのできるシートタイプのドライシャンプーなどが使われています。ただ、シートタイプだと力が均一に入りにくく、爽快感が得にくいというデメリットがありました。そこで手袋タイプにすれば、より使いやすくなるのでは?と考えたのです。

鈴木さん
鈴木

確かに使いやすそうですね。あれ、でもはめてみるとベタベタしませんね。液剤をたっぷり吸っていて、もっとしっとりしているのかと思いました。

ドライシャンプー手袋を手にはめた画像
尾藤さん
尾藤さん

外側を触ってみてください。しっとりしていると思います。

鈴木さん
鈴木

あ、ほんとだ!内側と外側で全然違いますね。

尾藤さん
尾藤さん

手袋を二層構造にしているんです。外側は高い強度と吸湿性のあるスパンレース不織布を使い、内側は水をはじくスパンボンド不織布を使っています。スパンレースで頭皮の汚れをしっかり拭き取れることで介護される側は気持ちよく、使っていても手がベトベトしないので介護する側も気持ちよく使っていただける、そんな工夫をしたんです。

ドライシャンプー手袋タイプの説明をする尾藤さん
鈴木さん
鈴木

なるほど!不織布の特徴を知り尽くしているからこそ、できたんですね。

尾藤さん
尾藤さん

不織布を二層構造にするため、専用の機械を導入しています。なので、二層構造の手袋型は特許を取得しています。
また、両面を無駄なく使えるよう、手袋は左右対称に作りました。これは意匠登録しています。

鈴木さん
鈴木

すごい!手袋型にするというアイデアだけでなく、介護者・非介護者両方のことを考え抜かれたからこそ生まれた製品なのですね。

拭き取る手間もなく被災地で役立った

鈴木さん
鈴木

ただ今回は、介護の現場だけでなく、被災地で多くの方が利用されたと聞きました。どういった理由からだったと思われますか?

尾藤さん
尾藤さん

ドライシャンプーはシート以外にも、スプレー・ジェル・パウダー・ムースなど、さまざまなタイプがあります。使い方もさまざまで、最後に拭き取りが必要だったりします。でも、「手袋タイプのドライシャンプー」は拭き取りをしなくてもすむように、あえて泡立つような洗浄成分は入れなかったんです。

鈴木さん
鈴木

洗浄成分が入っていないんですか?

尾藤さん
尾藤さん

洗浄ではなく、頭皮の汚れを拭き取る製品なんです。もちろん、みかんエキスを配合して髪と地肌を健やかに保つようにしたり、メントールを使用して爽快感を味わっていただけるようにしたり、清涼感あふれるフローラルフルーティの香りを採用したり、使用感や爽快感にはこだわりました。

鈴木さん
鈴木

なるほど。みかんエキスは、愛媛だからですか?

尾藤さん
尾藤さん

そうなんです。愛媛みかんを使用しています。

鈴木さん
鈴木

地元愛も感じますね(笑)。水を一切使わない、拭き取りもいらない、とにかく手軽だけれど頭皮がスッキリするということで、被災地で本当に重宝されたのでしょうね。香りもちょうど良いなと思います。

尾藤さん
尾藤さん

ありがとうございます。

からだ用も!水が使えない事態に備えたい製品

鈴木さん
鈴木

同じ手袋タイプに、からだ用もあるんですね。用途は『ドライシャンプー手袋タイプ』と同じですか?

尾藤さん
尾藤さん

手袋自体は二層構造で、ドライシャンプーと同じです。やはり手袋型ウェットシートにすることで、水なしで細かいところまでしっかり拭けるようにと考えました。

いいものマガジン編集会議中
鈴木さん
鈴木

ドライシャンプーとの違いはありますか?

尾藤さん
尾藤さん

より保湿効果をアップさせるため、みかんエキスだけでなくアロエエキスも配合しています。好みもあると思うので、「せっかんの香り」がするもの、「無香料」のもの、2種類を作りました。

鈴木さん
鈴木

パッケージには「おしりふきにも使える」と書いてありますね。

尾藤さん
尾藤さん

ドライシャンプーもそうですが、ノンアルコール、ノンパラベンなので刺激が少なく赤ちゃんから高齢者の方まで、安心して使っていただけます。

鈴木さん
鈴木

からだふきには、タオルタイプもあるんですね。

いいものマガジン編集会議中
尾藤さん
尾藤さん

長期保存が可能な大容量タイプがあれば、災害時にも役立つのではと思いました。180 x 360mmと大きめで、でこぼこのあるやわらかな厚⼿シートにしたので、1枚でしっかり拭けます。

アロエエキスとヒアルロン酸をW配合し、保湿のことも考えました。

鈴木さん
鈴木

長期保存というのは、どの程度もつんでしょうか?

尾藤さん
尾藤さん

未開封で5年です。

鈴木さん
鈴木

未開封で5年ですか!それはぜひ災害の備蓄品として用意しておきたいです。

尾藤さん
尾藤さん

開封後も適切に保管いただければ半年くらいは大丈夫かと思います。

鈴木さん
鈴木

会議中、みんなで製品を見せていただきながら1時間くらい放置していましたが、まだしっとりしていますし、使うことをとてもよく考えられていると思います。

尾藤さん
尾藤さん

ありがとうございます。おかげさまで、能登半島地震後は、『ドライシャンプー手袋タイプ』と『フィンガーウェッティ(※)』は特に需要が高く、欠品になってしまうほどでした。

鈴木さん
鈴木

水が使えない状態で、本当に役立つ製品だったということですね。

非常用備蓄品の中にぜひ加えてほしい!

防災について、さまざまな発信をしてきた、いいものマガジン編集部。今回の製品も、いざというときに役立つ製品だということを実感しました。

大容量の『からだふきぬれタオル』などを備蓄することはもちろん、『ドライシャンプー手袋タイプ』や『手袋からだふき』は、コンパクトなので非常用持ち出し袋の中に入れておくのも良いと思いました。

また衛生面でいうと、もうひとつ大切なのが「口腔ケア」です。本田洋行さんには、2019年に初代防災大賞を受賞した『フィンガーウェッティ(※)』もあります。

防災対策は、一人ひとりが考えるべき問題です。いいものマガジンでも、さまざまな記事を発信していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

※この記事の内容は、2024年7月31日の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。

2024.08.25
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