災害時も欠かせない口腔ケア!水がなくても使える指型歯みがきシート「フィンガーウェッティ」で解決
28
2024
Aug
災害時も欠かせない口腔ケア。
水不足で十分に水が使えないときでも、口の中の汚れを拭き取ることができる「フィンガーウェッティ」は、能登半島地震後、欠品になるほど必要とされました。
元は介護用品として開発された「フィンガーウェッティ」。なぜこの商品が防災グッズとして注目されたのか、製造販売元である株式会社本田洋行の尾藤さんにおうかがいしました。
INDEX
地元の歯科医と共同開発!フィンガーウェッティとは?
「フィンガーウェッティ」とはどのような商品ですか?
名前の通り、指に装着するウェットシートです。
業界初の指サック型口腔ケア用品として、2017年に発売を開始しました。
業界初なんですね!たしかに歯磨きができるウェットシートは指サック型より、シートタイプのイメージが強いです。なぜ指サック型にしたんですか?
2016年に保水率が違う二重構造の手袋型ウェットシートを開発し、特許を取得しました。
その技術をいかせないかと考えたときに、歯磨きシートを指サック型にするアイデアが出たんです。地元である四国中央市の歯科医に相談したところ、口が開きにくい方にも使いやすく、見なくても指の感覚を使って清掃や刺激ができると賛同いただき、共同開発することになりました。
歯科医が監修、推奨している商品なんですね!
従来のシートタイプと比べて、どこが違うのでしょうか?
シートタイプは指に巻きつけて使うのですが、磨きにくかったり、磨いている途中に取れてしまうことがあります。
「フィンガーウェッティ」は指を入れる部分が袋状になっているため、シートに比べて簡単に装着できます。余った部分を握ることができるので、磨きやすく、外れづらいのが特長です。これまでにない形なので、意匠登録もしています。
なるほど。長いのにも意味があるんですね。
シートだと使っていない面を使うために巻きなおす必要がありますが、指サック型だと回すだけでキレイな面を使えますね。
そこもポイントの一つです。介護施設でも使われる商品なので、使いやすさにこだわっています。通常の歯磨きと比較して、口を開きにくい方にも使いやすく、マッサージができるため、嚥下リハビリの専門家から認められ、介護職員、看護師、歯科衛生士からも高評価をいただきました。
水分が不足しがちな寝たきりの高齢者に対しても、濡れたシートでマッサージすることで口内を潤わせる効果、唾液の分泌を促して菌を抑制する効果があります。上あごをマッサージで刺激することで、脳が活発化して認知症予防にもつながります。
専門家も認める実力ということですね!
編集部員も実際に使ってみました。歯医者のゴム手袋のように違和感があったり、イヤな味がしたりするのではないかと心配しましたが、違和感なく磨けました。味もおいしかったです(笑)。
歯の凹凸までわかるので、歯ブラシでは難しい奥歯や隙間の汚れも拭き取れて、スッキリしました。
長期保存と使いやすさで防災グッズとしても大注目!
「フィンガーウェッティ」は防災グッズとしても注目されていますね。
災害が発生し、水が貴重になる状況においては、歯磨きなどの口腔ケアをためらうことが多く、口の中が不潔になりがちです。口の中で繁殖した細菌が、気管から肺へ侵入すると、「誤嚥(ごえん)性肺炎」を引き起こす可能性があります。災害時は疲れ、ストレス、低栄養で免疫力が低下しやすい状態であり、特に高齢者は誤嚥性肺炎発症の危険性が高くなります。
「フィンガーウェッティ」は水を使わず口腔ケアができるため、非常時の誤嚥性肺炎の予防に有効です。防災グッズ大賞生活用品部門で初代防災グッズ大賞をいただいたこともあります。
初代防災グッズ大賞!すごいですね。
歯ブラシは使った後、口をすすいだり、歯ブラシを洗ったりと結構水を使います。
水が十分に使えない環境では、使い捨てできるのがいいのかもしれません。
「フィンガーウェッティ」は水分たっぷりなので、水なしでも使えます。
60枚入りと大容量で、未開封の状態で3年保存することができるので、非常時に備えて備蓄しておくと安心です。
60枚あれば、家族と一緒に使えますね。
より衛生的な個包装タイプ「歯みがき指サック」も発売しました。こちらも未開封の状態で3年保存することができます。個包装で、かさばらないので非常用持ち出し袋に入れるのにも最適です。用途に合わせて使い分けていただければと思います。
非常時や介護の用途だけでなく、お子さんの歯磨きの仕上げや、長距離移動で歯ブラシが使いづらいシーンでも活躍しそうです。
細部まで使いやすさにこだわった商品開発
特許を取得された手袋型と同じく、「フィンガーウェッティ」も二層構造なんですね。
なぜ二重構造なんですか?
良い質問ですね。
手袋や指サック型は袋状にするために、超音波シールを使っています。
外側に使っているやわらかい素材、レーヨン主体のスパンレース不織布だけだと溶ける素材が少ないため、超音波シールで接着することができません。袋状に接着するためには、内側に別の素材を入れる必要があるということで、それならば手を入れたときのジメジメ感を軽減できる素材をと考えました。まずビニール素材を試してみたところ、蒸れてしまってかえってジメジメする結果に。いくつか試した中で、強度があって、撥水性もあるPP素材のスパンボンド不織布を採用しました。
保水率600〜1200%のスパンレース不織布に対して、内側のスパンボンド不織布は保水率が100〜150%と比較的少ないため、指を入れたときのジメジメ感が少ないです。
手を入れたとき、濡れてはいますが、軍手など水が染み込む手袋が濡れたときのグチョッとした不快感はありません。厚みがあって水分たっぷりなのに手を入れても嫌な感じがないのは、素材の違いによるものだったんですね。
そうなんです。
接着部分には自社の基準をもうけていて、頭やからだ、歯を拭いても破れづらい構造になっています。
ゴシゴシしても毛羽立ちが少なくて使い心地もいいです。
手袋型と指サック型は同じ不織布を使っているんですか?
実は用途に合わせて、厚さや材質を変えています。「フィンガーウェッティ」は汚れを拭きとりやすいようメッシュになっていて、歯茎に優しいやわらかさにするためのパルプが入っています。
使いやすいようこだわっているんですね!
成分も違うんですか?
指サック型は「フィンガーウェッティ」と個包装の「歯みがき指サック」、両方とも同じ用途なので成分も同じですが、手袋型はドライシャンプーやからだふきなど、同じ形でも種類がいくつかあります。
ドライシャンプーには清涼感のあるメントールを入れたり、アウトドア用のからだふきには虫が嫌がるユーカリオイルを入れたりとパッケージだけでなく、成分も変えています。
用途に合わせて、細かく変えているんですね。
日常的にも使いたいと思う商品ばかりです。
自社ブランド商品はISO9001認証を取得しておりますので、品質にも自信があります。
非常時はもちろん、それ以外でもご活用いただければと思います。
増えている防災用品!試して使いやすいものを備えましょう
非常用持ち出し袋に口腔ケア用品は入れていますか?
歯ブラシを入れているという方も多いと思いますが、能登半島地震のように水が満足に使えない状況になることもあります。そうなったときにどうするか、何が必要か、改めて考えてみましょう。
防災用品の選択肢は増えています。口腔ケア用品だけでも、たくさんの種類があるため、使いやすいかどうか一度試してみて、備えることをおすすめします。
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