プロが教える防犯フィルムの選び方!メリット・デメリットから失敗しないポイントまで徹底解説
11
2025
Jan
防犯対策についての関心が高まっている昨今、防犯フィルムを窓に貼ろうかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、防犯フィルムの選び方や防犯フィルムを貼るメリット・デメリット、失敗しないためのポイントなどを、窓ガラスのフィルムでおなじみのリンテックコマース株式会社のコンシューマー営業部大阪営業所長、吉田和弘さんにうかがいました。
INDEX
防犯フィルムとは
そもそも、防犯フィルムとはどういったものを指すのか、教えていただけますか?
防犯フィルムを貼れば、窓ガラスが割れないとか割れにくいと考える方も多いと思いますが、それは違います。
防犯フィルムとは、ガラス破りによる侵入時間を遅らせることを目的としたフィルムです。
なるほど。たしか警察庁のデータによると、侵入に5分以上かかると、約7割が侵入を諦めるといわれているんですよね。
その通りです。侵入犯罪のトップは無締りで、その次に多いのがガラス破りというデータもあります。
1位 | 2位 | 3位 | |
---|---|---|---|
一戸建住宅 | 無締り | ガラス破り | 合かぎ |
共同住宅(3階建以下) | 無締り | ガラス破り | 合かぎ |
共同住宅(4階建以上) | 無締り | 合かぎ | ガラス破り |
施錠するのは基本中の基本。家庭では「ガラス破り」対策をすることが重要ということですね。
はい、そう言えると思います。ガラス破りとは、窓ガラスを破壊し、そこから手を入れてクレセント錠を解錠して侵入する手口です。
防犯フィルムを貼っておけば破壊までに時間を要するため、その間に侵入を断念することも多いようです。つまり、防犯フィルムを貼ることが、侵入被害を防ぐのに効果を発揮するということです。
防犯フィルムのCPマークについて
最近、CPマークつきの防犯フィルムというのを見かけますが、やはり違うのでしょうか?
鈴木さんはCPマークって、どういうものかご存じですか?
防犯力の高さを公的に示すマーク…と思っています。
そうですね。CPマークとは、官民合同会議で「防犯性能の高い建物部品」を広く普及させるために作った統一マークです。ただ、CPマークという基準はありますが、防犯フィルム単体につけることはできないんです。
え、そうなんですか?
防犯フィルムについているとすれば、それは防犯性能の高い建物部品である「CP部品」であることを指します。実はCP部品と認定された防犯フィルムを窓ガラスに貼ったとしても、それだけでは「CPマーク付き」とはいえません。
CP部品とCPマークは違うわけですね。
例えば窓ガラスにCPマークをつける場合の基準は、かなり厳格です。
CP部品に該当する厚み350ミクロン(0.35mm)以上の防犯フィルムを、厚み5mm以上のフロートガラス及び3mm厚複層ガラスに施工。さらに、施工するのは建築フィルム1級・2級施工技能者(国家検定技能士)でなくてはならない。施工部はガラスの露出部全面、もしくは呑み込みを含むガラス全面に貼付など複数の厳しい基準をクリアする必要があります。
本当に厳格なんですね!じゃあ、施工前の防犯対策フィルムに「CPマーク」がついているとすれば、それは大きな間違いなんですね!
はい、そういうことになります。「CPマーク」の意味を正しく知ることは、大事ですね。
防犯フィルムと防災フィルムの違い
防犯・防災兼用のフィルムなどもありますが、防犯フィルムと防災フィルムの違いを教えていただけますか?
防災フィルムは、地震や台風などで窓ガラスが割れたときに家の中にガラスの破片が飛び散りケガすることを抑止するためのものです。一方、防犯フィルムは、侵入者が窓ガラスを破壊し侵入することを防ぐためのものです。
そのため、後者は一定の厚みやその性能についてエビデンスがあることが性能上求められます。
なるほど。つまり防災フィルムは「防災」の役割のみですが、防犯フィルムなら「防災・防犯」両方の役割を発揮できるということですね。
はい、そう理解していただいてよいと思います。
リンテックコマースの場合、スタンダードな防災フィルムの約4倍以上のフィルム厚を社内基準としています。
防犯フィルムのデメリット
防犯フィルムを貼ることが、防犯対策に有効であることはよくわかりました。でも防災フィルムより厚みがある分、施工は難しいですよね?
それがデメリットといえば、そうなるかもしれません。おっしゃるとおり、防災フィルムよりも厚みがあるので、最後に空気や水を押し出す作業は比較的、力が必要です。
ガラスフィルムを貼るコツについては、こちらをチェック
全面に貼るとなると…作業は大変そうですね。
そうなんです。防犯フィルムは窓ガラスの破壊時間を遅らせることを目的としているため、基本は全面貼りを推奨しています。一部だけに貼っても、それ以外の部分を割られてしまえば窓は貫通してしまいますから。
でも防災フィルムより高価ですし、施工も難しいとなると、一般家庭で窓の全面に貼るのはハードルが高そうです…。
だからといって窓ガラスに何も貼らないままでは、防犯力は下がります。
そこで提案しているのが、クレセント錠付近への部分貼りです。通常、侵入時には鍵周りを破壊する場合が多いといいます。部分的にでもこの周辺を重点的に守るだけでも破壊時間を遅らせることができます。
なるほど、部分貼りでも、防犯力向上には役立ちそうですね。
単純に部分貼りといっても、範囲が大きければ大きいほど防犯力は高まります。ご自宅で施工する場合は、防犯性・施工・コスト3つの観点から最適な方法を選んでいただければと思います。
防犯フィルムの正しい選び方
防犯フィルムのデメリットを理解したうえでの使用方法がよくわかりました。ありがとうございました。
実は現在「防犯フィルムにはさまざまな種類があり、どう選べばよいかわからない」という声が多く届いているんです。正しい選び方についても、教えていただけますか?
私たちも、これまで同様の問合せをたくさんいただきました。その結果、選ぶポイントは2つに絞られると考えています。これさえ守れば9割方成功すると思いますよ。
ポイントその1「自宅の窓の形状確認」
窓にはたくさんの種類があるので、まずはその形状を確認することが大切です。大きく分けて、7種類あります。弊社のホームページにもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
透明板ガラス、凹凸ガラス、網入りガラス、くもり(すり)ガラス、複層ガラス、LOW-Eガラスですね。なるほどなるほど。こうやって教えていただけると、家の窓ガラスと比べやすいですね。
あと気をつけていただきたいのは、窓によって外側は凹凸があり、内側は平らなものもあるということ。防犯フィルムを貼るのは屋内側なので屋内側のガラスの種類を確認するようにしてくださいね。
それは忘れがちかも!
窓の種類にあった防犯フィルムを選ばないと、きちんと貼れませんので、その点は大切なポイントです。それでも迷うという方は、弊社のお問合せフォームをご利用いただければと思います。
ポイントその2「欲しい機能を確認」
2つめは、ご自身が必要とされている機能を確認するということです。
大前提として「防犯フィルムであること」ですね。
基本はそうですね。あと防犯効果をあげたい場合は、より厚みのあるものを選ぶというのも、一つです。リンテックコマースの場合、200μ(0.2mm)・350μ(0.35mm)・凹凸ガラス用500μ(0.5mm)などがあります。
そのほか防犯機能に加え、UVカット機能、ミラー機能などが付帯している製品もあるので、必要に応じて選んでいただくとよいかと思います。
うまく貼れないのは窓の形状とあっていなかったから、せっかく貼ったのに不満がでるのは欲しい機能をちゃんと確認しなかったからということですね。この2つのポイントを、しっかり守っていただければと思います。
防犯フィルムの耐久性は?貼り直しの目安など
最後にもうひとつ教えてください。防犯フィルムの耐久性はどのくらいですか?
防犯フィルムに限らずガラスフィルムの耐久性は、リンテックコマースの場合、屋外で3年、屋内で5年を目安としています。
防犯フィルムは屋内に貼るのが基本なので耐久性は5年と考えてよいですが、紫外線が多くあたるなど使用状況によって異なります。耐侯年数はあくまでも目安であり、保証値ではないことをご理解ください。
そうですね。それは、ガラスフィルムに限らず、どんな製品にでも言えることですよね。
はがれたり破れたりといった見た目の劣化がなければ大丈夫な場合もありますが、長期間使用をしているとどうしても劣化は避けられないので、はがす際に不具合が出る場合がありますね。
そうなんですか?
商品の種類によって一概には言い切れませんが、リンテックコマースの製品は、通常5年以内であれば、のり残りが極力起こらないように作っているんですよ。
え~それは知りませんでした!
そのため、効果の持続性や貼り替えの労力などを考え、耐侯年数を目安とした貼り替えをおすすめしています。
防犯フィルムの正しい使用で防犯効果は高まる
防犯対策を考えている方にとって、ガラス破り対策は重要です。夜間や長期間家を空けるときは、雨戸を閉めることも有効です。
ただ、雨戸がない窓や日中に雨戸を閉めることが現実的でない場合は、防犯フィルムを検討してみてはいかがでしょう。
さらに侵入に手間取り、5分かかると侵入者の約7割はあきらめ、10分以上かかると侵入者のほとんどはあきらめるといわれています。窓の防犯対策を複数行うことで、防犯効果は高まるということも、ぜひ覚えておいてくださいね。
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※この記事の内容は、2024年10月28日の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。