家具作りを気軽に楽しんでほしい!そんな想いから生まれた『ウォリスト』
11
2020
Jun
DIY好きの方によく知られている『ウォリスト』は、1×4材や2×4材を使って家具を作ることができる金具です。だから「ディアウォール」や「ラブリコ」と同じ仲間だよねと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
大きなくくりでいえば正解なのですが、『ウォリスト』は他とは異なる点もあります。今回は、開発者の一人である垣見さんにお話をうかがいます。
『ウォリスト』が、ディアウォールやラブリコと異なる点とは、ズバリ何でしょう?
「ディアウォール」や「ラブリコ」は1枚で使うことを想定しているのに対し、『ウォリスト』は最大4枚連結して使うことができるという点です!
INDEX
出発点は、安く家具を作れる金具作り!
なぜ、最大4枚も連結できるものを作ろうと思ったのですか?
私たち開発チームが最初に考えたのは、家具の量販店で人気が高い「奥行きのある大型壁面収納」をDIYで手軽に作れないだろうか…ということでした。
1×4材や2×4材を3枚つなげたら約267mm、4枚つなげたら約356mmの奥行きができるということですもんね。
はい、そうなんです。1枚分(約89mm)の奥行きで、ちょっとした飾りを置く程度の棚なら簡単に作れます。
でも、テレビを置いても問題ないぐらい、しっかりとした本格的な壁面収納や家具を低価格で作れるようになればいいよね…というのが出発点だったんです。
なるほど。ありそうでないな…という感じですね。
金具作りをするにあたって、まずは2つの目標を掲げました。
2つの目標
1. 低価格で作れること
2. 強度があること
消費者側からみても、大事な視点ですね!
1×4材や2×4材を使えば、低価格で作ることができます。すでにこれらの木材でDIYを楽しむことは一般的になりつつあった頃なので、その点は特に問題ありません。
難しいのは「強度を出す」ことでした。
突っぱりポールを活用すれば簡単だけど、強度が足りない
家具を作るだけなら大丈夫なのですが、問題は壁面収納。壁にしっかり固定するには突っぱるという機能が不可欠でした。突っぱるということで最初に試したのは、ネジ式の突っぱりポール。これを使うことができれば低価格で抑えられるのですが、残念ながら強度が足りません。
難しいのは「強度を出す」ことでした。
普段使っている突っ張り棒は、確かにあまり強くないイメージです。
そこで…試行錯誤を重ねた末にたどり着いたのが「ジャッキ式にする」という案だったんです。
突っぱりポールに使われている「バネ」に、強度を増すための「ジャッキ」をつける。この組み合わせにより、目標にしていた「十分な強度」をクリアすることができるんです。
このXみたいになっている部分、かっこいいですよね
ありがとうございます。実はこの部分は電車のパンタグラフを参考に考えたんですよ。
難しかった「コスト」と「安全性」のバランス
苦労して作られているのはわかるのですが、「ウォリストの突っぱりジャッキは便利だけど、ちょっとお高いよね…」という声も聞かれますよね…?
確かに…。低価格な金具作りを目指した開発チームでしたが、強度を考える以上、安全性の確保も重要課題の一つでした。
もちろん同じような突っぱり用ツールの「バネ」にプラスして「ジャッキ」の機能がついているというのも理由の一つですが、もう一つ「ゴム」にも秘密があるんです。
一般的な突っぱり用ツールに使われているゴムは、コストを考えEVAを使用されることが多いです。その反面、硬くて滑り止め効果が比較的弱く、色移りの危険性があるものも多いのです。
ただ、大型壁面収納を叶えるウォリストとしては安全面を重視したい。ジャッキの能力を最大限に生かし、より高い安全性を確保したいという思いから、EVAよりも高価で強度のあるウレタンを採用することにしました。コストと安全性のバランスを考えた決断だったんです。
なるほど! 安全に使えないと確かに意味はないと思います。
安全性を高めるためにも使ってほしい専用金具たち
あと他に専用金具もいっぱいありますが、これも使ったほうがいいですか?
はい。もちろんです。
低価格で手に入れることのできる1×4材や2×4材。利用したことのある人ならわかると思いますが、形が微妙に違います。木材だから仕方ないのですが、よーく見ると反っていたり、節があったり…。また木材は季節によって縮むこともあるので「家具も作れる金具」としては、そうした誤差も計算する必要があります。
そこで活躍するのが、『束ねる金具』。これを使うことで微妙な差のある木材をしっかり連結して使うことができます。小さな家具を作るだけなら問題ありませんが、壁面を使った大型収納の場合は、さらに強度を上げるために『補強金具』もぜひ使っていただきたいです。
もちろん『突っぱりジャッキ』自体も、バネとジャッキで調整できるので、ちょっとした誤差に対応することは可能です。用途に合わせて使い分けてくださいね。
製品には自信があるけれど…使い方には気をつけて
最後に、DIYを楽しむみなさんに、何かアドバイスはありますか?
DIYといえば、自分で工夫して世界に一つだけのものを作れるのがメリットですよね。だから、ウォリストを使って、みなさんが工夫しながらDIYを楽しんでくださっているのをブログなどで拝見するのは、とてもうれしいことです。
ただ中には「大丈夫かな?」と心配になる使い方もゼロではありません。基本的に壁に向かってタテ向けに使っていただくことを想定していますが、ヨコ向けに使っている方もいらっしゃいます。
ダメなわけではないのですが、ヨコ向けに使われる場合は、物をあまり置きすぎないなど注意していただければと思います。
確かに、基本的な使い方のほうが、棚は安定しますね。
ちなみにウォリストには「耐荷重」の記載がありません。これは写真のように使い方によって強度が違うので、お伝えすることができないためです。
また、よくあるお問い合わせが、「畳で使えますか?」「カーペットで使えますか」というもの。基本的には、フローリングやコンクリートなど、平らな場所での使用をお願いしています。バネとジャッキを使用しているため、少しでも沈み込む可能性がある場所で使うことはおすすめできません。
『ウォリスト』で家具や壁面収納作りを楽しんで!
おかげさまで好評をいただいている『ウォリスト』。安全に使えるようしっかり考えて開発されていることが、伝わりましたか?
すでにチャレンジ済みの方も、これからの方も、ぜひ『ウォリスト』による家具や壁面収納作りをこれからも楽しんでいただければと思います。
ウォリストで作った壁面収納と4年後
※この記事の内容は、2019年5月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。