ブラックライトが掃除に使えるって、ホント?
07
2020
Dec
ブラックライトをご存じですか? 「レジンを固めるのに使ったことがある」という方や、「ジェルネイルを硬化するときに使われているよね」と思い浮かべた方もいるでしょうか。また、「刑事ドラマなどで捜査や鑑識に使っているのも、それじゃないの?」など、何となくは知っているけれど、結局よくわからない…という方も多いかもしれません。
どちらにしても、ちょっと特殊なもので身近にあるものとして認識している方は、少ないのではないでしょうか。
ところがここ数年、ブラックライトが「掃除に使える!」ということがわかってきました。すでにホテルや病院の清掃現場で使われているところも多いのだそう。今回はブラックライトのパイオニアである株式会社コンテックの課長、山田隆一さんにお話をうかがいました
INDEX
ブラックライトが力を発揮するのはトイレやキッチン
ブラックライトが掃除に使えるって、どういうことなんですか?
ブラックライトは、人間が見える可視光線よりも波長の短い光を発しているライトです。UVライトや紫外線ライトと呼ばれることもありますね。このライトは蛍光反応で特定の対象物を光らせる特徴があり、人間の目には見えない物質を浮かび上がらせることができるんです。
その対象物が尿や油などであるため、トイレの見えない尿の飛び散りや、キッチンの油汚れなどを見つけることができるというわけです。
尿や油など、透明で見えないものが浮かび上がっちゃうってわけですね。ちょっと怖い…(笑)。
そうですね。ご家庭でそこまで気を配る必要はないかもしれませんが、ホテルや病院などではご活用いただいています。一見きれいに見える場所でも汚れが残っていることがあるので、ブラックライトで確認し、より清潔に保っていらっしゃるということです。
特に今はコロナ感染症対策もあり、「清潔に」ということに気を配られている方も多いですし、需要はさらに増えるのではと考えています。
掃除に使うブラックライトの「375nm」って何?
ところで、掃除に使えるこのブラックライトの波長は「375nm(ナノメートル)」とありますが、これはどういう数値なのでしょうか?
光の波長のことです。紫外線といっても波長域は広く、10~400nmほどあります。
UVC | UVB | UVA |
---|---|---|
日光からの光ではオゾン層にカットされ、日常的にはほとんど浴びない。近紫外線の中でも特に生体に対して影響が強い。 | いわゆる日焼けなどは、この領域の波長が原因で起こる。長時間、露光照射されるとUVA以上に悪影響を与える。 | 地上に降り注ぐ紫外線のほとんどはこの波長。長時間の間、皮膚に照射すると悪影響を及ぼす。直視するのは危険。 |
紫外線というと、UVで表現されることが多いと思いますが、UVA、UVB、UVCという種類に分かれるというのは聞いたことがあるでしょうか?
はい! 女性は特に知っていると思います。確か、UVCはオゾン層にさえぎられる(※)とかで、地上に届くのはUVAとUVB。だから日焼け対策ではUVAとUVBに注意しないといけないとか…。
そうです。その違いは波長で、上の図にあるとおり、UVAは315~400nm、UVBは280~315nm、UVCは200~280nmといわれています。この数値が低いほど人体に及ぼす影響が強く、危険性も高くなります。
掃除に使うブラックライトは、このUVAの波長というわけです。400nmまで上がると汚れ以外のところも光りやすく判別が難しくなるので、375nmくらいがちょうどいいんです。
ブラックライトは紫外線、危険じゃないの?
ところでブラックライトって、結局紫外線ですよね? 「女性の大敵」って感じもしなくはいですが、危険性はないんですか?
そういう心配をされる方もいますね。もちろん、このライトを直接目に当てたり直視することは絶対やめてください。
でも弊社で扱っているブラックライトは、UVAの中でも可視光近辺の波長(365~405nm)を採用しているので、適正に使用していただければ、特に危険性はありません。UVAは日常生活で浴びる紫外線です。
実際、弊社でも実験していますが、曇り空程度の太陽光と比較したときの紫外線出力は、ブラックライトのほうが低いという結果もでています。
なるほど。何十時間も皮膚にブラックライトを当て続けるとか、目に当てるとか、特殊な使い方をしない限り、心配する必要はないってことですね!
そうなんですよ。
危険性については問題ないのですが、効果を期待する場合は、波長のことを知っておいていただく必要はあると思います。というのも、ハンディ型LEDブラックライトは比較的新しい技術で、JIS規格のような規定がないからです。
波長が短い365nmでは対象物がよく見えないこともあります。以下の表を参考にしていただければと思います。
特に海外製の安価なブラックライトは波長の幅が大きく、400nm程度と高い傾向にあります。掃除の用途であれば、「365~375nm」程度の波長のライトを探していただくことをおすすめします。
ぜひ、このことを知ったうえで、ブラックライトをお掃除に活用いただければと思います。
※この記事の内容は、2020年10月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。