新大久保に突如として現れる昭和レトロな建物「新宿日曜大工センター」。その全貌と魅力に迫る!
26
2022
Dec
日本のコリアンタウンとして有名な新大久保。韓国コスメや雑貨店、カフェなどが建ち並ぶ、若い女性にも人気の街です。
7~8階建てのビルが立ち並ぶ中、突如として表れる「DIY時代」の看板を掲げた建物が気になっていた方も多いのではないでしょうか。
この昭和レトロな雰囲気を漂わせる建物は、「新宿日曜大工センター」。1946年(昭和21年)創業のれっきとしたホームセンターです! 実は和気産業とも深い関わりのある、お店。いいものマガジン編集長の鈴木と営業担当の渡邉が、このお店の魅力をたっぷり紹介します!
INDEX
商品数より品揃え!30坪の店内には何と12,000アイテムも!
東京出張を利用して、ずっと気になっていた「新宿日曜大工センター」に行ってきました。郊外にある一般的なホームセンターとは違い、大量の在庫を置くスペースがない小さな店舗ですね。
30坪のお店です。でも、一般的なホームセンターにも負けないような品揃えを実現していて、商品数は約12,000アイテムにも及ぶんですよ。
確かに。通常のホームセンターのように同じ商品はいくつも並んでいませんが、種類は多かったです。
ところで、地下をご覧になりましたか?
行きました! 大量の材木が置かれていて、最初は倉庫かと思いました。
初めて見た方は驚かれるでしょうね(笑)。以前は倉庫だった場所なので。でも、お客様も入れますし、木材を加工する機械も置かれています。
スロープがあったり、板が立てかけてあったり、まるで地下ダンジョンのような雰囲気。他のホームセンターにはないワクワクを感じることのできるお店ですよね。
客層の半数以上は外国人。その他職人さん、歌舞伎町で働く人、大学生など
お客様は外国人の方が多いそうですね。
はい。6割近くは、近隣にお住まいのアジア系の方です。古い住宅の補修やリフォームに必要なアイテムを買いに来ることが多いですね。
金物や水道まわりの部品、接着剤、壁紙やペンキなどを購入されます。
残りの4割は、どんな方たちですか?
新大久保にはお店が多いので、新しくできる店舗やリフォームする店舗などもあり、現場で働く職人さんが利用されることもあります。
あとは歌舞伎町が近いので、そのお店で働く方。ホストクラブのオーナーさんが金のモールなどを購入することもありますね。あと学祭シーズンには、大学生の方もよく来ます。鳥人間コンテストにチャレンジする早稲田大学の学生さんの利用もあったと聞いています。
家族経営のアットホームなお店、和気産業との関わりは?
客層も他のお店とは違う、個性的なお店ですね。実はTwitterなどで「日曜大工センターなのに、日曜休みなのがナゾ」なんていう書き込みがあったんですが、ご存じでした?
若い方は「日曜大工」という言葉をあまりご存じないんでしょうね。
日曜大工は、そもそもDIYという言葉が日本に広まる前に生まれた言葉ですもんね。
はい。1971年(昭和46年)頃、「日曜などのお休みに、勤め人が大工の手を借りずに、家の補修をすること」を日曜大工と言うようになりました。
その頃にできたため、お店の名前は「新宿日曜大工センター」になったんですよね。東京に行ったとき、会長さんにもお会いしました。
もともと、このあたりは材木屋さんが多く、「新宿日曜大工センタ-」もそのうちの一つだった。時代と共に材木屋が廃業していく中、ホームセンターとして形を変え、今日までやってきたとお伺いしました。
ホームセンターとして歩み始めた頃に、和気産業とのお付き合いも始まったんですよね。
会長である太田昭二さんは、「DIYが世の中に広まったのは、和気産業とドイトさん※のおかげ」とおっしゃって、たくさんの想い出話をしてくださいました。
※ドイト与野店のこと。1972年埼玉県与野市にオープンした、日本初の本格的ホームセンターといわれるお店。
そういうお気持ちでいてくださるからか、とにかくみなさん温かいんです。商談が3時頃だとお茶とお菓子をご用意くださって。そんなお店、ほかにはないですよね。「いつも、わざわざ電車でありがとうね」とおっしゃってくださって…。
それは、わざわざ3時頃に商談に行きたくなりますね(笑)。
こうして一緒に「DIYを広めよう」と共に歩んでくださったお店があったからこそ、和気産業もDIYの専門商社として続けてこられました。本当にありがたいことです。
歴史だけじゃない、「新宿日曜大工センター」の魅力は人にあり!
現在は太田会長の2人の娘さんが、社長と副社長を務めていらっしゃいますよね。
太田会長の奥様も、そろばんをはじいて経理を担当されています。商品もレジも手打ちで一つひとつ入力されていますね。
大変な労力ですよね。すごいことだと思います。店長は、太田会長が「DIYの神様」と絶大な信頼を寄せている方だとお伺いしました。
月川店長は新卒で入社し、勤続年数49年という超ベテランです。知識もさることながら、長年の経験をもとに、店の商品の仕入れすべてを一人で担っていらっしゃるんです。
もうお店の顔ですからね。常連さんから「いつも、どうも」って声がかかるのをよく目にします。
お客様は外国人の方が多いと聞きましたが、接客はどのようにされているんですか?
さまざまな国の方が来られますから言語もさまざまですし、当初は身振り手振りで接客されていたようです。現在は、スマホの翻訳機能を使いこなしていらして、「接客がスムーズになった」とおっしゃっていました。
それは、すごい!
その月川店長と共に働いているのは、和気産業を定年退職された横田さんと佐藤さんなんですよね。
2人とも70歳を超えられましたが、主力選手として元気に働いていらっしゃいますよ。
個性的な横田さんと真面目な佐藤さん。和気産業の社員の中では今もその存在を知られている有名な方々ですよね。
外観からは想像できない新商品や、他では買えないお得な商品も扱う、その理由
「新宿日曜大工センター」は、大手のホームセンターにはない独自路線を歩み続けているところが、すごいなと思います。
特に「差別化しよう」「個性を出そう」としたわけではなく、時代と共に変えるところは変え、残すところは残し、コツコツやってこられた結果なのでしょうね。
たとえば、Googleの口コミでも驚かれる豊富な品揃えの秘密は、月川店長の「人を大切に」という精神のなせるわざなのだと感じます。「お客様が必要としているものは何か」を長年の経験と勘から導き出されているのだろうなと。
売場の商品すべてを把握している方でないと、できないことですもんね。
それほどすごい方なのに、とても謙虚で。「お店が続いているのは、お客様が買い求める商品を品揃えしてきたことと、それに対し問屋さんが素早く商品供給をしてくれているからだ」とおっしゃるんですよ。
和気産業の新商品も、積極的に取り扱ってくださっているとお聞きしました。
新商品はすべて紹介しています。その中からお客様に喜ばれそうな商品を売場に並べてくださいます。ふだんから、お客様の声に耳を傾け、売場の商品を把握されているからこそ、なのでしょうね。
通常では販売しないような、消費期限が切れた接着剤などをアウトレット商品として扱っているのも、月川店長のアイデアですか?
消費期限が切れると廃棄になってしまうのを何とかしたいと相談したのがきっかけです。値札を付けたり倉庫から商品を出してきたり手間はかかりますが、お客様が喜んでくださるならと引き受けてくださいました。SDGsの貢献にもなりますしね。もちろん、販売時に期限切れであることを伝え、万が一固まっていたら交換も行われています。
大手ではできない商品を扱ったり、サービスを行ったり、お客様に役立つ新商品をいち早く取り入れたりできるのも、「新宿日曜大工センター」さんの強みなんでしょうね。
新大久保に来たときは、ぜひ「新宿日曜大工センター」へ!
その外観を一度でも見た方は、おそらく気になっていたに違いない「新宿日曜大工センター」。外観のイメージそのまま、いえ期待以上の店内のレトロさに感激していただけるのではないでしょうか。
ぜひ、そこで働くレジェンド店長や店員さんに会いに、「新宿日曜大工センター」へ足を運んでくださいね。日曜日は定休日ですので、日曜以外にご来店ください(笑)。
※この記事の内容は、2022年11月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。