バリバリテープ12種類の特徴を開発者が解説!名前の由来は、あのプロ棋士が関係?
26
2024
Aug
和気産業が2020年に発売した『バリバリテープ』。正式名称は面ファスナーで、最初に発明したのは、スイスの電子工学者、ジョルジュ・デ・メストラル氏といわれています。
世間で広く認知されている商品でしたが、それゆえに商品パッケージは簡素なものでした。しかし面ファスナー自体は、手芸用品としてだけではなく、DIYでもさまざまな用途で使える万能品。お客様のニーズに合わせた商品開発や、パッケージ、POPの作成などを行い『バリバリテープ』の商標登録をとって発売したのが、和気産業です。
比較的新しい商品ではありますが、毎年1~2種類ずつ増え、2024年6月現在は12種類まで増えました。
今回は、開発者の一人である林さんに、いいものマガジン編集部のあらいもんが、12種類の違いについて、また疑問に思っていた『バリバリベルト』の使い方について、聞いてみました。
INDEX
なぜ『バリバリテープ』と名付けたのか
林さんは、営業部の安田さんと一緒に、『バリバリテープ』を開発されたんですよね。その経緯は以前の記事で、安田さんにお伺いしました。
そもそもなんですが、なぜ『バリバリテープ』と名付けたんですか?
面ファスナーは知らない人が多いですし、何かキャッチーな名前をつけたいなと思っていたんです。はがすときの音が特徴的なので、ビリビリとかパリパリとか、いろいろ考えたんですけど…。
実は当時、将棋の最年少プロ棋士であった藤井聡太四段が、歴代最多連勝記録を30年ぶりに更新するなど、破竹の勢いで活躍されているときでした。まだ中学生なのに、すばらしい成績を残しているものの、使っていた財布は面ファスナー式の布製の折りたたみタイプ。
それを見たファンたちから、
「雰囲気は大人びているけど、財布はバリバリ財布でとても安心した」
「財布バリバリしてて可愛いすぎ」
などの声が上がっていました。
それをみて『バリバリテープ』にしようと思ったんです。
なるほど。すごくわかりやすいですね!
社内からは疑問の声もあったのですが、私自身はこれしかないと思いました。今では『バリバリテープ』は、和気産業の商標登録です。
12種類の『バリバリテープ』それぞれの特徴
最初は『バリバリテープ』から始まって、現在『バリバリバンド』や『バリバリベルト』もありますよね。安田さんからは、「お客様が選びやすいように」という目線で考えたら、増えていったとお聞きしました。
はい。現在12種類まで増えました。
それぞれ、どのような目的で作られたかなど、一つひとつ聞かせてください。
1)カンタン貼るだけ!バリバリテープ粘着式
まず一番オーソドックスなのが『カンタン貼るだけ!バリバリテープ粘着式』です。
25mm・50mm・100mmの3タイプありますよね。最近はよく、リモコンやコンセントなどを壁やテーブルなどの目立たない場所に面ファスナーを使って収納するという方がいますが、それにも使いやすいですね。
そうですね。使いたい小物の形に合わせて選ばれることが多いと思います。
2)カンタン貼るだけ!バリバリテープ粘着式(カット済)
四角とか丸とかにカット済のものあるんですね。
粘着部分が強力なので、POPなど少し厚みのあるものなどにも使いやすいと思います。
でも、POPなんかだと両面テープでもいいように思いますが…。
貼り付けたままで良い場合は両面テープでいいと思います。ただ両面テープだと一度外してまた付けてを繰り返すのは難しいですよね。
下の写真は、鈴木編集長のご自宅の写真です。
玄関の、靴べらの置き場所に困っていたんです。床に座ったまま取り外しができるように、靴置き場の隅にバリバリテープで固定しました。ちょっとしたことですが、非常に便利で重宝しています。
へぇ~アイデア次第でいろいろ広がりますね。私もひとつ思いつきました!一眼レフカメラのレンズのフタの一時置き場所にするのはどうでしょう!フタって、ついなくしがちじゃないですか?
なるほど、それもいいですね!
3)激強力に固定できる!バリバリテープ激強力
激強力は、これまで紹介した2つより、強い力で付くってことですよね?
はいそうです。ファスナー部分も粘着部分も、どちらも強力にしました。完全に固定はしたくないけど、倒したくない置物や観葉植物などに使われているようです。
ゴミ箱にもいいですよね。倒れるといやだけど、ゴミ捨てのときには、持ち上げられるほうがいいし。
新井さんのように柔軟な発想で、どんどん活用していただきたいですね。
4)ザラザラ面にも貼れる!バリバリテープ粗面用
これは粘着部分が、粗面にも使えるというものですね。『バリバリテープ』を使いたい粗面って、どんな場所があるんでしょう?
木材や凹凸のある壁面などにも使いたいというご要望があったんです。これまで紹介したタイプは、凹凸がある面だとはがれやすかったんです。だから、粗面用も作りました。
ガレージのブロック塀などでも使えると思います。
なるほど。『バリバリテープ』で、工具を壁面収納したりというのも、アリかも。
いいですね。
あとはカーテンとカーテンのすき間から光が漏れるのが気になるというときに使われる方もいるようです。素材によっては、通常のカット済より、粗面用が良いかもしれません。
5)うすくて目立たない!バリバリテープ薄型
『バリバリテープ』が薄型っていうのは、意外な盲点だったかも!
そうですね。カーペットの固定などでは『バリバリテープ』 の厚みが気になるとのことで、薄型タイプの需要がありました。
また床に貼るほうは、はがせるほうがよいとのことで、カーペットに貼る側は強力粘着タイプ、床に貼る側ははがせるタイプの粘着シールを採用しています。
確かに!それはうれしい配慮ですね。
6)車内に最適!バリバリテープ車内用
走行時は固定したいけれど、使うときや掃除するときは外せたほうがいいってことですよね。車内用として、どんな工夫があるんですか?
車内は温度が上がりやすいため、耐久性を考えて作りました。
夏場は特に、車内の温度はすごく上がりますから、大事なポイントですね。
7)縫付専用!バリバリテープ縫製用
布製品に『バリバリテープ』は、よく利用されますよね。
最近は「介護用」として、ボタンやファスナーではなく、『バリバリテープ』を使いたいという方も増えています。今ある洋服のボタン部分を、『バリバリテープ縫製用』に付け替えるそうです。
8)ゴム・PPに良くつく!バリバリテープ難接着
これは新製品ですよね。ゴムやポリプロピレン(PP)樹脂にも、『バリバリテープ』を使いたいという声があったということですか?
そうなんです。これまでの製品の粘着部分は、ゴムやPPには対応していなかったので。
確かに。ゴムマットがずれたりするのは、微妙にストレスを感じそうです。
あとはポスターなどラミネート加工してあるものだと、はがれやすい場合もあるので。そんなときに、ご利用いただきたいと思って、開発しました。
9)巻くだけ!バリバリバンド両面ファスナータイプ
ここからはテープではなく、バンドですね。
貼り付けるだけでなく、巻いて使えるのも面ファスナーのいいところですよね。両面全部が面ファスナーになっているので、どこでも止められるし使いやすいと思います。
はい、とても使いやすいと思います。
好きな長さに切って使ってもらえるのも、『バリバリバンド両面ファスナータイプ』の利点です。
10)巻くだけ!バリバリバンド伸縮タイプ
こちらのバンドは伸縮性があるのが特徴ですね?
はい。伸縮性のないタイプよりも、よりしっかりと締めることができます。自転車やバイクを乗るときに、使っている方もいるようです。
そうですね。あと、工事現場で働く方の作業着にも活用されているようです。
自転車を乗るときに、すそが広がるタイプのパンツは、危ないですもんね。
11)ギュッと!締める!バリバリベルトバックル付
ベルトとバンドの違いは何ですか?
バックルを付けることで、より強力に締められるようにしたのがベルトタイプです。
なるほど、バックルがあるかないかなんですね。
はい。固いものをまとめるときは、あまり感じないかもしれませんが、柔らかいものを、しっかりとまとめたいときには、バックルがあると便利なんです。
例えばどんなときですか?
キャンプをされる方はわかると思うんですが、テントや寝袋など、購入時は、とても上手にたたまれて、付属の袋にコンパクトにしまわれています。
ただ、一度使ったあと、収納しようとすると、購入時の状態と同じサイズに戻すのは、結構大変で…。
わかります!以前防災グッズの『アルミブランケット』を使ったときも、同じ経験をしました。とても丁寧にたたまれていてコンパクトだったんですが、使ったあと戻そうとすると、ちょっと大変でした(笑)。
そうそう、そんな感じです!たたんだときに、『バリバリベルトバックル付』を使っていただくと、コンパクトにしやすいので、袋にも入れやすくなりますよ。
12)手袋をしていても扱いやすい!バリバリベルトOD
最後も新製品のベルトですね。「手袋していても扱いやすい」ものが欲しいという希望があったといことでしょうか?
はい、そうなんです。手袋にバリバリ部分がひっついて、締めにくいという声があったので、ツマミを付けました。
小さな工夫ですが、かゆいところに手が届く…そんなアイデアですね。
キャンプ場や工事現場など、危なくないように軍手をはめる方も多いんでしょうね。お声を寄せてくださった方のお役に立てたらうれしいですね。
あらいもんが物申す!『バリバリベルト』の落とし穴?
全12種類について、詳しい説明ありがとうございました。最後に一つ、いいですか?
はい、何でしょう?
実は私11番目に紹介した『バリバリベルトバックル付』を使うときに、困ったことがあって。
ベルトの長さと巻きたいものの太さがあっていなかったことも原因かもしれないですが、ふつうベルトを巻いてバックル部分まできたら、バックル部分にベルトを通して反対側に引っ張って締めますよね。でも、そうすると余ったベルトの部分が長すぎて、ひっつかないんですよ。
で、ちょっと悩んだのですが、一度巻いてバックル部分まできても、反対側に引っ張らずにバックルに通したあとも同じ方向に巻き付ける。そして長さがある程度短くなったことを確認して、最後に反対側に引っ張って締めるというやり方にしたんですが、合っていますか?
はい、おっしゃるとおりですよ。それを想定してバックル部分は太めに仕上げていたのですが、わかりにくかったですか?
編集部のメンバーにも聞きましたが、みんな一度は迷いました。
なるほど…。そこは改良点の一つとして検討してみますね。実は、『バリバリテープ』関連の開発は、まだまだ続いています。今もちょうど、新しい商品の開発に取り組んでいるところです。
そうなんですか!
まだテスト段階なので、ここではお話できませんが、楽しみにしておいてください。
はい、楽しみにしておきます。今日はありがとうございました!
※この記事の内容は、2024年6月21日の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。