くっつかない接着剤がある!?その不満の真相に迫る!
28
2019
Nov
世の中にはさまざまな接着剤があります。でも、しっかりくっつくものもあれば、あまりくっつかないよなーってものも、正直あるって思っていませんか?
でも、それって実は製品の問題ではなく、使い方の問題のようなのです。
なぜなら、接着剤の固まり方はさまざまで、何と何をくっつけたいか、どうくっつけるかなど、作り手側はもっとも最適な製品を開発し、その最適な使い方を推奨しているんです。だから接着剤はただ単に「塗って貼り合わせばいい」というものではないというわけ。
そこで今回はセメダイン株式会社さんにご協力いただき、「接着のメカニズム」や「固まり方の違い」「使い方」について学んできました。今回は謎のDIYアドバイザーMr.DIYと共にお送りします!
INDEX
接着のメカニズムを知ろう!「ぬれ」って何?
そもそも「接着」って、どういうメカニズムなんでしょう?
「接着」とは、2つのモノ(素材)が接着剤を介して結合した状態のことを言います。つまり、私たちには素材同士がくっついているように見えていますが、実はそれぞれの素材が接着剤とくっついている状態です。
この接着剤と接着した素材がくっつくために大切なのは、接着剤がよくぬれているかどうかなんですよ。
ぬれているって、接着剤をしっかり「塗っている」ってことですか?
いえいえ、違います。この「ぬれ」という言葉は、接着用語です。
接着剤(液体)を、接着させたいモノ(固体)に付けたとき、しっかりくっついている(角度が小さい)状態を「ぬれている」といいます。逆にしっかりくっついていない(角度が大きい)状態を「ぬれていない」といいます。
接着剤ではなく水を使っても実験できます。いろいろな素材(接着させたい固体)に水を一滴落としてみてください。左のイラストのように水をはじくような、ぬれない素材は接着が難しくなるということです。
プラスチックとかですか?
はい。正式にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)と呼ばれるものが、いわゆるプラスチックですね。他にも、シリコーンゴムやポリアセタール、フッ素樹脂(テフロン)は難接着物と呼ばれ、くっつきづらい素材の代表選手です。
接着剤の固まり方は4タイプ
ところで接着したいモノをしっかりくっつかせるには、接着剤が固まる必要がありますよね。これってどうやって固まるんでしょう?
固まり方といっても、実はいくつか種類があります。大きく4つのタイプに分けることができますよ。
1.水分と反応して固まる
空気中やくっつけるものの表面にある、わずかな水分と反応して固まるタイプ
2.溶剤が蒸発して固まる
接着剤の中の溶剤や水分が蒸発することで固まるタイプ
3.化学反応で固まる
加熱または、2種類の液体を混ぜ合わせることで、科学的な反応が起こって固まるタイプ
4.熱で融け冷えて固まる
接着剤自体が固体として存在するタイプ。熱で融かして塗り、冷えて固まると接着が完了します
え〜そんなに種類があるんですね。これだけあったら何でもくっつけられそう!
そうですね。ぬれにくいためにくっつきにくいと言われていた、プラスチック同士をくっつける接着剤も登場していますよ。
接着剤の正しい使い方を知ろう!
固まり方が4タイプに分けられるということは、使い方も少しずつ違うんでしょうか?
はい、その通りです。まずは一般的な接着剤の「正しい使い方」をお教えしましょう。
表面が汚れていると接着力が弱まってしまうので、キレイに拭いておきましょう。手や服で軽くこするなどは、かえって脂がついたりホコリがついたりするのでNGです。
たくさん塗った方がくっつくように感じているかもしれませんが、必要以上に厚く塗ってしまうと固まるのに時間がかかり、強度が不足しがちです。接着面が小さい場合は片面に塗るだけでもOKです。
接着剤の固まり方でお話ししたように、接着して固まるまでにはある程度の時間が必要です。貼り合わせたら完全に固まるまで放置しましょう。
なるほど。正しい使い方というのがあるわけですね。手でパパッと拭いちゃうとか、多めにつけちゃうとか、やりがちでした…。
はい。これは基本的な使い方で、接着して固まるまでの時間が数分のものもあれば24時間放置したほうが良いものもあります。他にも、接着剤を塗ってから貼り合わせるまでに数分間時間をおく、オープンタイムというのを設けているものもあります。
それらは全て「説明書」に書いてあるので、必ず説明書をしっかり読んでから使ってほしいですね。
説明書を読んで、その通りに使うって大事ですね!
そうなんです! 「くっつきにくい接着剤」というのは、正しい使い方ができていない場合が多いもの。これからはぜひ「説明書通りのやり方で接着する」ことを実行してくださいね。
接着剤は正しい使い方をすればより便利に使える!
Mr.DIYも紹介していたように、接着剤はどんどん進化し、これまでくっつきにくいとされていたプラスチックをくっつけられるものも登場しています。ただし、「正しい使い方」をしないと、思ったようにくっつかないので使う側も注意が必要だということですね。
今回、接着剤のメカニズムや固まり方の違いを知っていただいたことで、より理解を深めていただけたのでは…と思います。
進化し続ける接着剤については、今後もいいものマガジンウェブで取り上げていきたいと思っています。ぜひこれからの記事にもご注目くださいね!
※この記事の内容は、2016年6月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。