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開発期間3年!油を溶かす&引きはがすに着目し、たどり着いた『すっごい油の洗浄水』

開発期間3年!油を溶かす&引きはがすに着目し、たどり着いた『すっごい油の洗浄水』

21

2025

Feb

コロナ禍で大注目を浴びた『すっごい掃除水』。この製品を扱うガナ・ジャパン株式会社さんは、『すっごい掃除水』『すっごい水垢取り』など、お客様に「すごい!」と思われる洗浄剤を開発してきた会社です。 

そのガナ・ジャパンさんがついに『すっごい油の洗浄水』を2024年秋に発売開始!今回は、その洗浄剤の開発経緯について、担当の中原さんにお伺いしました。

『すっごい油の洗浄水』を作ろうと思ったきっかけ

いいものマガジン編集会議の様子
坂田
坂田

そもそも、なぜ油に特化した洗浄剤を作ろうと思われたのですか?

中原さん
中原さん

ご存じのとおり、私は弊社製品の実演販売を行っています。

中原さん
中原さん

スーパーやホームセンターからお声がけいただき出向くことが多いのですが、実演販売の中で特に大切にしているのが、お客様との対話です。

坂田
坂田

それが製品の改善や開発のヒントにもなるとおっしゃっていましたね。

中原さん
中原さん

そうなんです。主力商品である『すっごい掃除水』は、さまざまな場所に使えるマルチクリーナーなので、お客様から「油汚れにも使えますか?」というお声をよくいただくのですが…。実は「油汚れ」だけは苦手だったんです。 

そのため、「油汚れは苦手なので、あちらの棚にある他の製品を使っていただくのが良いと思います」といった形でご案内していたのですが、ずっと寂しいなぁと思っていました。だから「いつか絶対に油汚れに強い洗剤を作ろう」と考えていたんです。 

開発にあたり掲げた3つのこだわり

すっごい油の洗浄水
中原さん
中原さん

ようやく2021年の冬、開発に着手しました。世の中には油汚れ洗剤が山のようにありますから、同じようなものを作っても意味がありません。我が社が製品化するにあたり掲げたポイントは3つです。

  1. 油汚れがすばやく落ちること
  2. 手肌に優しいこと(中性に近い成分)
  3. 環境に配慮した製品であること(界面活性剤の濃度を抑える)
中原さん
中原さん

ただ油汚れが落ちるのではなく「①すばやく落ちる」ことは、後発品としての大きな役割だと考えていました。さらに、これまで扱ってきた製品と同様、「②手肌に優しい」「③環境に配慮」も外せないポイントでした。

坂田
坂田

そんな製品ができたら、使う側としてはとてもうれしいです!

想定外!油を溶かしてもヌルヌルがとれない

坂田
坂田

開発は、どのように進められたのですか?

中原さん
中原さん

頑固な汚れを落とすには「油を溶かす」必要があります。一般的にpH値が高いほど油汚れに有効であることはわかっていました。

pHスケール
pH値は水の性質を示す単位の一つ。7より小さい場合は酸性(水垢などの汚れに強い)、大きい場合はアルカリ性(油汚れに強い)
中原さん
中原さん

「①すばやく落ちる」を実現するために、まずは片っ端から市販の製品を試してみたのですが、予想と異なる結果が出てしまったんです。

坂田
坂田

というと、アルカリ性が強いからといって、油汚れが落ちなかったということですか?

中原さん
中原さん

そうなんです。確かにアルカリ性が強い洗剤は、油を溶かす力が強いのですが、かなりベタつきが残ってしまって。私たちの目指す「油汚れをすばやく落とす」結果にはならなかったんです。

坂田
坂田

ベタつきが残るというのは、ヌルヌルするということでしょうか?

中原さん
中原さん

はい。表面にヌルヌルが残ってしまっては、油汚れが落ちたとはいえません。そこで「油を溶かす」だけでなく、「油を容器表面から引きはがす」ことも必要だと考えたんです。

「油を引きはがす」原料探しに1カ月、調合に3年

いいものマガジン編集会議の様子
坂田
坂田

油を引きはがす…あまり聞き慣れない言葉ですね。

中原さん
中原さん

そうですよね。一緒に開発協力してくれた専門家も「油を引きはがすってどういうことですか?」と、おっしゃいまして。最初は私のイメージを理解いただくのに苦労しました。

そしてようやく1カ月かけて、いくつかの引きはがす力をもつ原料にたどりついたんです。

坂田
坂田

これで製品誕生に大きく近づいたわけですね!

中原さん
中原さん

いやいや…本当に大変だったのは、ここからです。油を引きはがす力のある原料と、油を溶かす力のあるアルカリ性の原料。それぞれ別々に使えば、それなりの力を発揮するのですが、混ぜ合わせてみると機能が低下してしまったんです。

坂田
坂田

なるほど…化学の不思議ですね。 

中原さん
中原さん

はい。だから、両方の機能を最大限に引き出すための「調合」という戦いが始まりました。

坂田
坂田

 どのくらいかかったんですか? 

中原さん
中原さん

3年ほどかかりました。正直、新しい製品は1年ほどで完成すると思っていたので、想像以上でしたね。

坂田
坂田

 3年ですか!ひたすら調合すること3年間とは…気の遠くなる作業ですね。

中原さん
中原さん

はい。正直、途中でくじけそうになりましたが、今さら引き返せない、前に進むしかないという気持ちでしたね。実演販売時のお客様の声も、支えになったと感じています。

うれしい誤算も「②手肌に優しい」「③環境に配慮」をクリア!

中原さん
中原さん

でも、ここでうれしい誤算もあったんです。調合を繰り返す中、pH値を中性にしても油汚れとヌルヌルを解決できる調合バランスにたどり着けたんです。

坂田
坂田

なるほど、目標としていた「②手肌に優しい」こともクリアできたわけですね。

中原さん
中原さん

しかも、界面活性剤の濃度も11.9%まで抑えることができたので、「③環境に配慮」についてもクリアできました。

坂田
坂田

よくCMで見る食器用洗剤なんかだと、界面活性剤は32%とあります。かなり抑えられていますね!

中原さん
中原さん

はい、想像以上の月日がかかりましたが、今までにない理想の洗浄剤を完成させることができました。

『すっごい油の洗浄水』ぜひ試してみてください!

いいものマガジン編集部とガナ・ジャパンの中原さんとは長いお付き合いがあり、たくさんのお話を聞いてきました。これまでの製品『すっごい掃除水』『すっごい水垢取り』の実力も、もちろん知っています。

そのため、開発秘話をお聞きしただけで、いいものマガジン編集部員のこの製品に対する期待度はマックス!!もちろん、実際に試した感想もお伝えしています。楽しみにお待ちくださいね。

※この記事の内容は、2025年1月20日の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。

2025.02.21
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