水に強いことで大ヒット!『裁ほう上手®︎』の実力を徹底解剖
24
2019
Dec
針も糸も使わずに、ズボンの裾上げをしたり、通園通学グッズが作れてしまう優れモノ『裁ほう上手®︎』をご存じですか?
お裁ほうが苦手な人も手作りマスクが作れると話題に♪
発売後すぐに手芸業界でヒット商品となった『裁ほう上手®︎』ですが、そのポイントは接着が強いことはもちろん、「水に強く、洗濯が可能になった」という点でした。なぜ、洗濯に耐えうる接着剤が誕生したのか? その理由を、コニシ株式会社ボンド営業本部の西村さんに直撃しました。
INDEX
これまでなかった水に強い布用接着剤、誕生の理由とは
水に強い布用接着剤というのは画期的な製品のようですが、そもそもなぜこの商品を作られたのでしょうか?
幼稚園や保育園などの準備で、通園バッグや上履き入れなどを作らなくてはいけない。でも、家にミシンがない、裁縫が苦手、というお母さんの声をヒントに『裁ほう上手®︎』は生まれたんです。
『手芸用ボンド』など布に使える接着剤は以前からあったのですが、それらは洗濯には向いていない、接着した布が硬くなって風合いが損なわれるという欠点がありました。
『裁ほう上手®︎』は次の2点が大きな特徴です。
- 洗濯に強く、ドライクリーニングもできる
- 接着後も布が硬くなりにくく、風合いを損ねにくい
でも強度は?針と糸に比べて弱いんじゃない?
ただ、やっぱり気になるのは強度です。正直、針と糸で縫う方が強いんじゃないかと思ってしまうんですが、その辺りはどうなんでしょうか?
確かにそういったイメージをお持ちの方もいらっしゃるとは思いますが、正しく使っていただければ普段使いに十分に耐えられる強度は出ます。強度実験をした動画を見ていただくとその不安もなくなるはずです。
おお! ミシンで縫製したものより強いんですね。疑ってすみませんでした(笑)。
いえいえ、針と糸のほうが強度があるというイメージの方、多いと思うんです。実験からもわかるように針と糸で縫ったものは荷重によりまず糸が切れてしまいます。一方、『裁ほう上手®︎』は布が千切れてしまい、最後まで接着面は剥がれませんでした。
これだけ強ければ普段使いにはまったく問題はありませんね。安心して使えます。
接着の仕組みと水に強い秘密
では、そもそもの接着の仕組みや、従来の水に弱い製品との違いを教えていただけますか?
『裁ほう上手®︎』には液状タイプとスティックタイプがあります。どちらも、『木工用ボンド』や『手芸用ボンド』などと同じように樹脂が水の中に浮かんでいる(分散している)エマルジョン系接着剤です。
このような水性系接着剤は、塗布した後に水分が蒸発して樹脂だけが残ることで接着します。
水分が蒸発することでくっつくんですね。あれ? でも、同じ水性系接着剤なのに『裁ほう上手®︎』だけがなぜ水に強いんですか?
使われている樹脂が商品ごとに違うというのがポイントです。
『木工用ボンド』と『手芸用ボンド』は水に弱い「酢酸ビニル樹脂」と「EVA樹脂」を使用しています。
水に弱い
木工用ボンド | 酢酸ビニル樹脂 |
手芸用ボンド | EVA樹脂 |
それに対し、『裁ほう上手®︎』は、耐水性のある「シリル化ウレタン樹脂」と「ウレタン樹脂」を使っているということです。
耐水性あり
裁ほう上手液状 | シリル化ウレタン樹脂 |
裁ほう上手スティック | ウレタン樹脂 |
なるほど、水に強い理由は使われている樹脂の違いにあったんですね。
アイデア次第で用途はさまざま!
実際に『裁ほう上手®︎』を使って貼り合わせた布をご用意いただきましたが、その強度に編集部一同びっくり。力いっぱい引っ張ってもびくともしませんでした(本来はそのような用途を想定した製品ではありませんのでご注意ください)。接着部分の手触りも自然な風合いで匂いも気になりません。
何よりも今回の特集でわかったように、これまでの布用接着剤と違い、水に強く洗濯ができるという点は『裁ほう上手®︎』の大きな魅力です。
ズボンの裾上げ、通園通学グッズの製作はもちろん、さまざまな用途で活躍するのではないでしょうか。裁縫に苦手意識がある方も、手芸を手軽に楽しみたい方も、ぜひ一度、お試しください。
※この記事の内容は、2019年11月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。